2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s350
【はじめに】肝細胞癌(HCC)に対する肝移植の保険適用が新基準(5-5-500内あるいはミラノ基準内)に拡大され、BCLC Intermediate stageでも同基準内であれば、非代償性肝硬変例に対しては保険医療として肝移植の施行が可能となった。【対象】HCCに対して生体肝移植を施行した258例から摘出標本でvp2/vv2以上であった8例を除外した250例。【方法】術前画像診断でIntermediate stage相当(肝機能は考慮しない)のHCCは67例、Early stage HCCは183例。背景因子、移植後成績、予後不良因子を検討した。【結果】移植前治療既往、最終治療から移植までの期間、HCV陽性率、最大腫瘍径、腫瘍個数、腫瘍の局在、移植前AFP値で2群間に差を認めた。Intermediate stage HCCの生体肝移植後5年生存率(%)は69.4%、5年無再発生存率は75.5%でEarly stage HCCの成績と比較し、有意に不良であった(各P<0.0001)。Intermediate stage HCCにおいて、新基準外(ハザード比 3.75、P値0.03)と好中球リンパ球比 > 2.06(ハザード比 4.16、P値0.02)が移植後HCC再発の独立危険因子であった。新基準外(ハザード比 2.31、P値0.008)が独立予後不良因子であった。Intermediate stage HCCかつ新基準内32例の5年生存率は83.2%、5年無再発生存率は92.8%と基準外35例よりも良好であった。【考察】Intermediate stage HCCでも新基準内であれば、生体肝移植の良い適応であることが示唆された。