2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s355
海外では抗ドナー抗体陽性腎移植に対して、高用量IVIgを使用した脱感作療法の有用性が報告されていたが、本邦でも漸く2019年に高用量IVIgの「抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作療法」が保険収載可能になった。多くの施設では高用量IVIgに加え、リツキシマブと血漿交換を併用したプロトコールが行われているが、適応症例、投与量、血漿交換の併用方法などプロトコールは確立していないのが現状である。
当施設でのCDCクロスマッチ(CDCXM)陰性、フローサイトクロスマッチ(FCXM)陽性例に対する脱感作療法は、血漿交換、リツキシマブ、低用量IVIgを併用で行っていたが、約半数で急性抗体関連型拒絶反応(AAMR)が発症する結果であった。今回、高用量IVIg導入にあたりIVIG投与に伴う心負荷、血栓症、頭痛や肝機能障害などの有害事象のリスクを考慮し、血漿交換と高用量IVIgを交互に計4回行うプロトコールとした。3症例に施行した結果、FCXMの陰転化が達成でき腎移植を施行できた症例が2例で、陰転化できずに移植を断念した症例が1例であった。移植した2症例はAAMRも認めず、3症例とも有害事象は認めなかった。本シンポジウムでは、今後の追加症例の結果も踏まえて当プロトコールの妥当性を検討する。