移植
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リツキシマブを用いた免疫抑制プロトコルと血液型不適合移植の術後成績
市田 晃彦赤松 延久長田 梨比人三原 裕一郎裵 成寛河口 義邦石沢 武彰金子 順一有田 淳一長谷川 潔
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s45

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抄録

【背景】当科のABO血液型不適合肝移植症例に対する肝移植の免疫抑制プロトコルを提示し、その成績を検証する。

【方法】移植の14日以上前にリツキシマブ375mg/m2を投与した。抗血液型抗体64倍以上の症例では抗体価をモニタリングしつつ、移植までに2~5回の血漿交換を行った。また、移植7日前よりタクロリムス(目標血中濃度5ng/dl)・MMF(500mg/日)の内服を行い、移植後はこれにステロイドを加え3剤併用とした。

【結果】2016年に血液型不適合移植を開始してから2020年12月までの症例は21例であった。このうち1例に抗体関連拒絶を認め、グラフト不全のため死亡している。また、他の1例で術後肝動脈血栓症をきたし手術関連死亡を認めたが他の19例は生存中である(術後在院日数中央値44日、生存期間中央値597日)。CMV感染を10例(47.6%)に、細胞性拒絶を6例(28.5%)に認め、うち2例では繰り返す細胞性拒絶に3回以上のステロイドリサイクル療法を行った。また、退院後に3例は肺炎で、1例は腹膜炎で、1例は卵巣膿瘍で再入院・加療を要した。

【結論】

血液型不適合移植後は抗体関連拒絶、細胞性拒絶、晩期の感染性合併症に注意して経過をみる必要があると考えられた。

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