移植
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肺移植患者におけるCMV感染症のマネジメント: ピットフォールとアップデート
岡本 耕
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s47

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抄録

肺移植後患者においてサイトメガロウイルス(Cytomegalovirus: CMV)感染症は、遭遇する頻度が高く、また予後に大きな影響与えるため、最も重要な感染症の一つである。CMV感染症は体液・組織からCMVのタンパク(抗原)や核酸が検出をもって診断されるが、厳密には症状の有無によってCMV infection(症状・所見なし)とCMV disease(症状・所見あり)に区別される。臨床的には、無症候性のウイルス血症(抗原血症)、発熱・倦怠感・白血球減少・異型リンパ球増多・血小板減少・トランスアミナーゼ上昇を主徴とするCMV syndrome、そして肺炎をはじめとする組織侵襲性のCMV diseaseのいずれかとして認識される。CMV感染症は、それ自体による直接的な影響だけでなく、免疫能低下に伴う他の日和見感染症の増加、および拒絶とも関連するため、予防が極めて重要である。予防戦略には、universal prophylaxis(予防投与)とpre-emptive therapy(先制治療)があるが、ドナー陽性・レシピエント陰性例を中心に前者が行わることが多い。抗ウイルス薬としては、ガンシクロビルやバルガンシクロビルが用いられるが、好中球減少や腎障害などが問題となる。本講演では肺移植患者におけるCMV感染症のマネジメントについて、ピットフォールや最近のトピックも含めて概説する。

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