移植
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常染色体優性多発性嚢胞腎患者における腎移植後自己腎容積の検討
米倉 尚志村松 真樹板橋 淑裕西川 健太泉 惠一朗櫻林 啓前田 真保青木 裕次郎小口 英世濱崎 祐子宍戸 清一郎河村 毅酒井 謙
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s514

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抄録

【はじめに】常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)に対する腎移植において、自己腎の移植前・移植時の処置は多く報告されているが、未処置で残存した自己腎の移植後経過は報告が少ない。今回、ADPKD患者における未処置の残存自己腎の腎移植後経過について検討した。

【方法】2003年1月~2021年3月に当科で腎移植を行ったADPKD患者12例(両側自己腎未処置3例、移植同時に片側腎摘5例、経カテーテル動脈塞栓術3例、移植に先行した腎摘1例)を対象とした。移植に際して未処置で残存した自己腎の移植前、移植3か月後、移植1年後の容積経過を検討した。

【結果】年齢は43.3歳(IQR:35.3-49.4)、性別M/Fは8/4、透析未導入は5例だった。12例の残存した未処置腎容積は、移植前1847ml(274-2080)、移植3か月後1530ml(718-1940)であり縮小率は12.1%(4.0-24.1)だった。移植1年後では自己腎容積1090ml(140-1345)、縮小率は33.0%(28.0-40.1)だった。移植3か月後に2例の自己腎は縮小しなかったが、移植1年後では全例が縮小した。また、容積変化率において処置の有無による有意差は認めなかった。

【考察】ADPKDに対する腎移植では、移植後早期から残存した自己腎は縮小傾向を示した。移植を契機に自己腎容積は変化したが、その要因解析には今後さらなる症例の蓄積が必要である。

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