2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s55
【背景】骨髄由来免疫抑制細胞(MDSCs:Myeloid-derived suppressor cells)は癌や感染症などの病的状態で骨髄から誘導される免疫抑制細胞として報告されている。臓器移植における免疫治療としての位置づけは明確でない。
【方法】MDSCsのセルソースとして、ドナー、レシピエント、3rdPドナーに分け、その抑制能とマウス心臓移植におけるグラフト生着期間を評価した。さらに、培養誘導したMDSCsをサブタイプ別にその抑制能とグラフト生着期間を比較し、その免疫抑制の機序を探索した。【結果】いずれのセルソースから誘導されたMDSCは、グラフト生着を延長させた。Ly6ChiMDSCs(単球性)はLy6ClowMDSCsと比較し、グラフト生着期間を有意に延長させ(Fig.A)、それはiNOSを介した直接抑制とnTreg増殖による間接的な抑制維持による機序が明らかとなった(Fig.B)。【結論】単球由来のMDSCs移入療法は臓器移植時の新たな免疫抑制導入療法の可能性がある。