移植
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腎移植と在宅血液透析~コンビネーションにおける有用性と課題~
若井 陽希阿部 奈津美兵藤 透吉田 一成
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s56

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抄録

在宅血液透析(Home Hemodialysis:HHD)は、医師の管理の元、患者自身が自宅で血液透析を行う治療法である。自宅に血液透析関連機器を設置し、介助者・付添者の協力の元、患者自身が、回路組立・穿刺・透析中の管理・返血等の全ての手技を行う治療法であるため、導入のハードルが高く、我が国での導入数は少ない(全慢性透析患者の0.2%(760名)(2019年統計時点))。

しかしながら、「自宅で好きな時に透析を実施可能」「透析回数や透析量の増加による予後改善への期待」「食事制限の緩和」「生活の質の改善」「就労率の上昇」等の利点が評価され、徐々に導入数は増加してきている。

これらの利点は、腎移植によって得られる利点と一部一致しており、腎移植を含めた様々な腎代替療法について広く選択肢を求める患者に対し、提示すべき有意な療法であると思われる。

また、当院では、移植腎機能が低下し透析再導入が必要となった患者に対してもHHDを導入している(2015年時点で、当院でのHHD導入例42名のうち11名(26.2%)が腎移植経験例)。これらの患者のHHD導入後の生活の質は高く、移行後の経過は総じて良好である。

以上の経験から、HHDは療法選択の様々な時期で腎移植と共に検討されるべき治療法であり、また、腎移植とのコンビネーションという視点で、HHDの利点と課題について検討を行うことが有用であると考えている。

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