2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s68
【背景】肝切除後の合併症には肝予備能と切除肝容積の2つの因子が大きく関与している。肝予傭能を正確に把握し許容肝切除量を決定することが安全に肝切除を行う上で重要であり、 特に生体肝移植ドナーにおける残肝予備能評価はDonor Saftyにおいて非常に重要である。
【対象と方法】肝アシアロシンチにおけるGSA投与後15分での肝集積率LU15に、 SPECT画像から算出した機能的残肝率を乗じた残肝LU15によって残肝機能を評価し、残肝LU15値が13.0以上を残肝予備能良好とした(残肝LU15 Criteria)。 2012年から2019年までに施行した生体肝移植ドナー10例に対しても、 同様のCriteriaを適応して残肝予備能を評価し、
その術後短期成績を検討した。
【結果】年齢中央値は39歳、性別の内訳は 男性8例、女性3例であった。右葉切除は7例、 左葉3例であった。10例中9例で残肝LU15 Criteriaの範囲内であったが、1例でCriteria 範囲外の症例を認めた。その1例は術前脂肪肝を高度に認め、栄積状態の改善を待って予定通りの手術を行い術後合併症は認めなかった。全例で術後にClavien Grade IIIA以上の合併症は認めなかった。
【結語】残肝LU15 Criteriaは生体肝移植ドナーに対しても術後肝不全を予測する因子として有用であるが、 1例でCriteria逸脱症例を認めた。術前の脂肪肝が影響していると思われたが、今後も症知の蓄積が必要と考えられた。