移植
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生体肝移植における顕微鏡下胆道再建の有効性を検討する多施設共同ランダム化比較試験-プロコトル報告-
曽山 明彦吉住 朋晴高槻 光寿原田 昇戸島 剛男大野 慎一郎足立 智彦日髙 匡章江口 晋
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s87

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抄録

【背景】生体肝移植における術後胆道合併症の発生率は施設によって差があり、15-30%という報告がみられる。2013年、Linらは、従来、胆道再建が外科用拡大鏡(2.5x-4.5x)を用いられているのに対して外科用顕微鏡(5x-15x)を用いた胆道再建により合併症発生率が6%台に抑えられることを報告した。【目的】生体肝移植における外科用顕微鏡を用いた胆道再建の有効性を、多施設共同ランダム化比較試験により明らかにする。【対象と方法】以下の条件を満たす患者を対象とする。胆管-胆管吻合による胆道再建を実施する患者、複数の胆道再建を必要としない患者、18歳以上の患者。外科用顕微鏡 (視野5x-15x)と拡大鏡(ルーペ)を用いて、胆管胆管吻合を実施する。グラフト種類、レシピエント原疾患、実施施設を割付因子として最小化法を用いて割付を行う。主要評価項目は、術後1年以内のClavien-Dindo分類III以上の胆道合併症(胆道狭窄、胆汁漏)の発生率とする。検出すべき差として、従来法の胆道合併症発生率を25%、顕微鏡による発生率を10%とし、αエラーを片側5%、検出力を80%として、必要な症例数を158例(各群79例)と設定した。【期待される効果】本研究により顕微鏡を用いた胆道再建の有用性が証明された場合、肝移植後の胆道合併症発生率の低下につながる手技の一つとして実施され、患者のQOLや長期予後の改善にもつながる可能性がある。

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