2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s96
【背景】我が国の腎移植の過程で、およそ3万3000人が自らの腎臓を提供し末期腎不全の家族を救ってきた。しかし他国からは生体ドナーの長期予後についての報告を散見し、生体ドナーの安全のため、また生体ドナー候補者に対して腎提供に関する正しい情報提供を行うためにも、我が国も生体ドナーの長期フォローアップと長期予後の調査が望まれる。
【我が国の生体ドナーの長期予後と現状】腎移植臨床登録集計報告では、移植後7年間の観察期間で末期腎不全に至ったドナーはいらっしゃらない。しかし腎移植施設によっては生体ドナーの長期フォローをプライマリケア医に委任することがあり、ドナーの正確な予後の把握が困難である。医療ビッグデータ(リアルワールドデータ)を用いても、生体腎移植ドナーの予後の把握は困難であった。
【今後の展望】生体腎移植ドナーの健康とwell-beingのためには内科医の参画、地域との連携強化、有効なレジストリの構築が望まれる。我が国において可能な方法を検討する。