移植
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心臓ドナー手術において互助制度を活用するために
木下 修
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s145_1

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抄録

 近年、脳死ドナーからの臓器採取手術において、腹部臓器領域では互助制度が活用され始めているが、胸部臓器領域ではほとんどの症例で移植実施施設から人員派遣と全ての器材・薬剤を持ち込む従来通りの体制で行われている。心臓ドナーの評価では、経験ある心臓外科医による術中の視触診が非常に重要であるため、他施設チームにドナー手術を完全には任せにくいことが一つの大きな理由である。しかしそれは移植実施施設から判断できる立場で心臓外科医が1人赴けば解決する。また、心臓ドナーとして良好な状態であれば、そのような微妙な判断は必要ないこともある。摘出に必要な人手や器材、薬剤・消耗品などをドナー病院や他の近隣移植実施施設から提供頂いてドナー手術を行うことができれば、それは互助制度の活用と言ってよいものだが、重く多量の器材・薬剤・消耗品を長距離・長時間運ぶことを避けられ、経済的にも労務負担的にも有用である。

 心臓ドナー手術で互助制度を活用できるようにするために必要なことは、①手術手技の標準化 ②使用器材の標準化 ③灌流液・保存液の標準化および一元管理 ④パッキング方法の標準化 ⑤搬送容器・搬送法の標準化・省エネ化 ⑥費用配分・費用負担の取り決め、である。本発表ではこれらについて述べる。

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