移植
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脳死下肺摘出・搬送法標準化の現状
星川 康芳川 豊史
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s145_2

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抄録

本学会ホームページ上で提示されている脳死下肺摘出術のオリジナル版は、2011年3〜5月当時の肺移植実施7施設に対してアンケート調査を行い、慎重なメール審議とコンセンサス形成を経て、全施設の相違点を包括するものが作成された。本邦の肺摘出術の初めての標準化プロセスであった。

2021年4〜6月共同演者の芳川豊史先生(本学会脳死・心停止下リカバリー環境改善委員会委員)が中心となり、日本肺および心肺移植研究会を通じて、肺移植実施10施設に「臓器搬送における手順標準化に向けたアンケート調査」を行い、慎重なメール審議の上、改訂がなされた。特に逆行性灌流に関して、従来の摘出後バックテーブルで行うものから術野で行う形に変更した施設が増えていたため、従来法と併記する形で加筆がなされた。事前に腹部チームとコンセンサスを得ること、呼吸循環管理医・日本臓器移植ネットワークコーディネーターと情報共有することも強調されている。この他、現状に合致させるよう複数の意見が出され、この過程で多施設間相互の手技の再確認、標準化が改めてなされた。

臓器摘出・搬送の互助制度に関しては、2018年1〜2月日本肺および心肺移植研究会による肺移植実施9施設に対するアンケート調査の結果、肺移植では時期尚早と判断し、腹部臓器の状況をオブザーブする方針となっている。

脳死下肺摘出・搬送法標準化の現状を提示し、今後の課題を議論したい。

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