移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
脳死下膵・腎摘出の標準化
伊藤 泰平剣持 敬栗原 啓會田 直弘
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s146_2

詳細
抄録

2010年の改正臓器移植法施行以降、徐々に脳死ドナーが増加する一方、膵腎同時移植を行う事例は徐々に減少しており、2018、2019年は、脳死ドナー当たりの膵腎同時移植実施例はそれぞれ50%であった。したがって、30-40例/年ほどの脳死ドナーからの腎単独採取が行われている。また、2018、2019年で15例は腹部臓器採取が腎のみであり、さらにうち2例は胸部臓器採取もなく、腎採取のみであった。これらの事例では、腎チームのみによる腹部操作、カニュレーションが求められ、特に胸部臓器採取がなかった2例に関しては、脳死ドナー臓器採取を腎チームのみで完結しなくてはならない。

このように、脳死下臓器提供においては、胸部臓器摘出の有無、肝摘出の有無、膵摘出の有無によって、様々なバラエティのシチュエーションに対応できる膵・腎摘出技術が求められる。

一方、国内のCOVID-19感染流行に伴い、脳死下臓器提供は2019年の97件から2020年68件、2021年69件と減少に転じている。脳死下臓器提供件数の減少は、本邦における臓器不足問題がさらに悪化するのみならず、摘出医の技術習得向上の大きな妨げとなる。摘出医の技術習得向上の観点からも、COVID-19感染流行に伴い互助制度がより活発に利用されている状況からも、脳死下臓器摘出の標準化は必須であると考えられる。

脳死下膵・腎摘出における標準化について論じる。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top