移植
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臓器摘出手術における教育の重要性 –ハンズオンセミナー、eラーニング−
曽山 明彦
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s147_1

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抄録

臓器移植において良好な治療結果を得るために、臓器摘出手術から臓器パッキング、搬送に至るまで、適切かつ円滑に実施されることが重要である。腹部臓器領域では以前より、臓器摘出手術における施設間協力、いわゆる互助制度が行われてきた。COVID19の影響、働き方改革などの観点から、今後、摘出手術における施設間協力の重要性は更に高まることが考えられる。日本移植学会では以前より大動物(ブタ)を用いた胸部腹部合同の臓器摘出手術ハンズオンセミナーを開催してきた。COVID-19の感染拡大により、2021年はWebセミナーとして開催したが、2022年3月のセミナーは3年ぶりに実地開催した。ハンズオントレーニングは、ブタ1頭を用いて、胸部領域(心・肺)、腹部領域(肝・膵・腎)合同での摘出手術を行う。大動脈カニュレーション等の還流準備から摘出までの工程をパート毎に分けて交代で担当する。合同で行うことにより、担当臓器の摘出手技に加えて、臓器摘出手術全体の流れ、領域間、臓器間の協力の重要性を学ぶことができる。セミナーでは摘出手術の実際の他、臓器摘出後のパッキングについても講義や資料配布を行っている。施設間協力による臓器摘出は、共通認識に基づいた信頼関係のもとに成立するものであり、教育の役割は非常に重要である。ヨーロッパにおいてはハンズオントレーニングやeラーニングによる教育の履修を条件とした臓器摘出手術の認定制度が確立しており、本邦における教育システムのあり方や将来の認定制度についてもアカデミアにおける領域・臓器横断的な検討を行うことは重要と考えられる。

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