移植
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東北大学における膵臓移植手術手技 課題とこれからの展望
松村 宗幸戸子台 和哲柏舘 俊明藤尾 淳宮澤 恒持佐々木 健吾宮城 重人海野 倫明亀井 尚
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s208_1

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抄録

膵臓移植は移植手術手技の困難性から、手術手技に起因する合併症が多く報告され、グラフト血栓症、グラフト十二指腸出血、グラフト十二指腸縫合不全はグラフトロスに繋がりやすく予防と早期発見が極めて重要である。東北大学病院ではこれまで15例の膵腎同時移植を施行してきた。3例にグラフト血栓症(医学的治療必要例1例)、3例にグラフト十二指腸出血(うち1例はグラフト十二指腸拒絶)を認めた。グラフト血栓症に対して、2例は抗凝固薬で経過観察できたが、1例ではグラフトロスとなった。グラフト十二指腸出血は1例で放射線科の血管内治療を行い止血が得られた。1例では出血を繰り返し、十二指腸穿孔から再手術も繰り返しグラフトロスとなった(最終的にグラフト十二指腸拒絶と診断)。当院では、外腸骨動静脈への移植、外腸骨静脈の可動域改善・圧迫閉塞予防として内腸骨静脈切離、膵炎膵漏発生時の経口経路確保のためのRoux-Y再建を行っており、さらなる手術手技の標準化に取り組んでいる。筆者はマイアミ大学腎移植外科へ留学し膵腎移植外科の研修を行った。マイアミ大学では1000例を超える膵移植を行っており、ドナー選択、手術手技、免疫抑制剤、周術期の輸液管理はすでに標準化されている。マイアミ大学での経験をマージナルドナーが多い本邦の実情に合わせて応用することで、当院における手術手技のさらなる改善と標準化を試みており、現状と課題、今後の展望について報告したい。

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