移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
脳死膵臓移植における十二指腸空腸吻合の工夫による十二指腸関連合併症の回避
平田 義弘小寺 由人加藤 孝章本田 五郎江川 裕人
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s208_2

詳細
抄録

脳死膵臓移植における最大の合併症の一つとしてグラフト十二指腸関連の合併症がある。当院で2020年11月から2022年3月までに8例の脳死膵移植を施行した。6例目までに4例の十二指腸関連合併症を経験したため、7例目より十二指腸回腸吻合を自動縫合器による側々吻合からRoux-en-Y再建に変更した。合併症4例の詳細および、現在の再建の工夫を紹介する。

症例1:術後7日目に十二指腸断端の縫合不全を認め十二指腸内減圧用のバルーンカテーテルを留置した。カテーテル部を瘻孔化し抜去したが、術後6ヵ月で膿瘍形成しドレーン留置して外来で経過観察中である。

症例2:術後3日目に吻合部出血を認めたがFFP投与により止血。

症例3: Yグラフト再建の結果GDAを結紮、十二指腸の色調がやや悪く、術後2日目に縫合不全を認めた。グラフト十二指腸の壊死部を切除しレシピエント回腸壁を用いて再吻合、Roux-en-Y再建した。しかし再度縫合不全を起こし吻合部皮膚瘻となり、管理に難渋している。

症例4:術後7日目に十二指腸断端の縫合不全を認めた。断端を閉鎖しRoux-en-Y再建。

7例目以降のRoux-en-Y再建について:Y脚は30~40㎝とし、十二指腸回腸吻合部は5mm径とする。膵液は通過可能かつ、Y脚に腸管内容物が逆流しても十二指腸内には流入せず十二指腸内圧は上昇しない。このため吻合部および十二指腸断端の縫合不全が予防できる。

以降十二指腸関連合併症は認めていない。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top