2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s269_3
【はじめに】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行に対する打開策として、日本でもワクチン接種が進められ、2022年4月時点で全人口の79%が2回のワクチン接種を完了している。われわれは今までの研究で、ワクチン接種1か月後の腎移植レシピエントの抗体陽性率は低く、抗体価は一般集団よりも低いと報告している。今回われわれは、コロナワクチンを3回目接種した症例を対象に抗体反応について検討を行った。
【対象および方法】腎臓移植後に3回のコロナワクチン接種後1か月経過をした118症例(男性:67、女性:51)である。試薬は、LABScreen COVID Plusを用いて、ECD , S1 , RBD, S2,NCの5つのフラグメントのIgG抗体の推移について測定を行った。
【結果】各採血時期のnMFIはECDが26470と一番高いnMFIを示し、RBDが21700、S1が16720、S2が12908の順であった。ワクチン接種から1カ月後では49/119(41%)、3カ月後では63/119(53%)、6カ月後では57/119(47%)、三回目接種後1カ月では、87/119(73%)でいずれかのフラグメントで抗体獲得が認められた。接種後約3か月をピークに各フラグメントともに減弱した。3回目接種後のnMFIは再上昇し、3カ月の値を上回っていた。
【結語】
腎臓レシピエントにおける3回目の投与は、IgG抗体の増加を効果的にもたらしていた。抗体のモニタリングは、個人にあったワクチンの接種間隔や接種量、接種回数などを決めるたに役立つ可能性がある。