移植
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臓器提供の意思表示を啓発するための新聞キャンペーン:誰が最もアピールできるか?
村上 穣山崎 大鈴木 都美雄副島 雄二石塚 修上條 祐司
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s275_3

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抄録

【背景】教育や啓発により臓器提供の意思表示が増加することが報告されているが,誰が最も市民にアピールできるかはほとんど検討されていない。

【方法】長野県臓器移植推進委員会は新聞広告を用いた臓器提供啓発キャンペーンを実施した。2021年1月9日に発行部数439,733部の信濃毎日新聞に啓発広告が掲載された。広告には、臓器提供の意思表示を呼びかけるメッセージに加え、泌尿器科医、移植外科医、腎臓内科医、透析医、眼科医、自身が腎臓内科医である腎移植患者(患者兼腎臓内科医)の6名が顔写真とQRコード付きで掲載された。新聞読者は、それぞれのQRコードを読み取って臓器提供に関する各動画を視聴できた。評価項目は、新聞掲載後30日間の動画再生回数とし、YouTubeアナリティクスで評価した。掲載された6名において各動画を視聴した人の割合と95%信頼区間を比較した。

【結果】動画はのべ262回視聴された。患者兼腎臓内科医の動画が最も視聴回数が多く(視聴割合0.019% [95%信頼区間 0.015-0.023])、次いで透析医(0.011% [0.008-0.014])、腎臓内科医(0.010% [0.007-0.014])、泌尿器科医(0.008% [0.006-0.012])、移植外科医(0.006% [0.004-0.009])、眼科医(0.005% [0.004-0.008])と続いた。

【結語】臓器提供の啓発動画を視聴した回数は,患者兼腎臓内科医によるアピールが最も多かった。臓器提供の意思表示を啓発するためには、医療者は患者の参画を考慮する必要があると考えられた。

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