移植
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秋田大学医学部附属病院における生体腎移植希望者が腎移植に至らなかった理由の検討
瀬田川 美香齋藤 満藤山 信弘山本 竜平羽渕 友則伊藤 歩相庭 結花桂田 歩夏井 遼
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s277_1

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抄録

【はじめに】秋田大学医学部附属病院泌尿器科で、1998年~2021年10月までで生体腎移植を希望して術前検査を開始したドナー・レシピエントのペアは計555組であった。今回、当院での生体腎移植希望者が腎移植に至らなかった理由および詳細を明らかにすることを目的に本調査を行った。

【方法】当院での生体腎移植希望者の中で、移植に至らなかった腎移植ドナー・レシピエント148組の外来カルテから腎移植に至らなかった理由を抽出し、それぞれカテゴリ化して分析した。

【結果】腎移植に至らなかった理由としてドナー要因が82件(55.8%)、レシピエント要因が53件(36.1%)とドナー要因の方が多かった。ドナー要因としては「採血・採尿検査結果」、レシピエント要因としては「全身状態不良」「抗体陽性で拒絶リスクが高い」が最多であった。腎移植に至らなかったペアにおけるドナー候補とレシピエント候補との関係性によって腎移植不施行の理由は異なっていた。【考察】腎移植に至らなかった理由はペアの属性により腎移植不施行の理由により異なるため、対象に合わせた検査の順番が必要になる可能性がある。また、腎提供の意思がないドナー候補がいた場合に外来で対応できる体制構築が必要と考える。

【結論】当院での生体腎移植希望者のうち腎移植に至らなかった理由として、ドナー要因の方がレシピエント要因よりも多かった。各ペアの特徴にあわせた検査順序の検討が必要かもしれない。

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