移植
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~コロナ禍におけるレシピエント移植コーディネーターの役割の変化~
吉田 幸世関谷 菜津美眞田 幸弘大西 康晴岡田 憲樹平田 雄大堀内 俊男大豆生田 尚彦大友 慎也大柿 景子佐久間 康成
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s277_2

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抄録

背景:COVID-19国内初感染から2年が経過し、国内感染者数は840万人を超え、移植後患者の感染報告も増えてきている。当科におけるコロナ禍の現状とレシピエント移植コーディネーター(RTC)の役割を報告する。

方法:2022年4月までに当院に通院中の肝移植後患者426名に対し行った外来支援よりコロナ禍におけるRTCの役割を検討した。流行初期は電話診療の導入に向けた院内調整、新種のウイルスに対する患者への生活指導を行った。その後は、ワクチン接種に関する相談、緊急事態宣言発令時の電話診療対象者のトリアージ、COVID-19陽性患者への対応を行った。

結果:当院のCOVID-19感染状況は、感染者数28名、発症時年齢中央値17.5歳(1-70歳)、移植後経過年数中央値13.5年(0-26年)。感染経路特定15名、免疫抑制療法は26名で施行、重症度分類は中等症Ⅰ4名、軽症24名であり、治療は全例酸素不要、他院で1名に抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体が投与された。転帰は全例治癒、合併症はコロナ関連深部静脈血栓症1名であった。当院への報告は発症時22名、事後報告6名(内アドヒアランス不良4名)であり、事後報告の4名に免疫抑制薬の減量指導ができなかった。

考察:COVID-19は居住地の行政によって治療方針が決定されるが、移植施設も並行して患者の感染状況を把握し、重症化の早期発見に努めることが重要である。収束が見えない状況下において今後も情報発信や継続支援が必要である。

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