移植
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レシピエント移植コーディネーターが抱える役割遂行上の困難に関する調査研究
杉元 弥生朝居 朋子明石 優美剣持 敬
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s277_3

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抄録

目的:レシピエント移植コーディネーター(RTC)がどのようなことに困難を感じ、その困難にRTCの属性が影響するのかを明らかにすること。方法:全国168移植施設のうち、協力の得られた67施設122名のRTCに対し、2019年無記名自記式質問紙調査を実施した。結果:回収数68(回収率55.7%)。RTCのキャリア形成(経験年数6年目以上、認定取得、専従・専任)により困難を感じる者が少ない項目は、生体移植の意思決定の援助におけるレシピエント候補者の援助、臓器移植前の脳死下/心停止下移植を受けるレシピエントの精神的援助、臓器移植直後から退院でのレシピエントの退院指導であった。キャリア形成に関係なく困難を感じる項目は、脳死下/心停止下移植及び生体移植の意思決定の援助におけるレシピエントのキーパーソンの援助、生体移植の意思決定の援助におけるレシピエントの家族間や生体ドナーの援助、脳死下/心停止下移植でのRTC自身の勤務調整、退院後のレシピエントの社会復帰の援助、レシピエントやレシピエントのキーパーソンの教育、脳死下/心停止下移植を受けたレシピエントの精神的援助であった。考察:生体ドナーの意思決定や脳死下/心停止下移植でのレシピエントの精神的援助など倫理面や精神面での困難が多く見られた。RTCは、移植のチーム医療の中心となり、他職種連携につなげることで、様々な困難の解決につながると考える。

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