2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s282_1
移植医療の現状は,世界的に見ると地域差があるといえる.それに伴い,移植看護に関しても学問のみならず臨床レベルにおいても地域差があることが想定される.世界規模の移植看護組織として国際移植看護学会(International Transplant Nurses Society: ITNS)が存在し,前述の現状を踏まえて,世界における移植看護の実態調査や,質の確保のための移植看護教育システム開発などを行っている.
ITNSによる移植看護発展に対する具体的取り組みとして,
①年次総会における最新の研究提示
②継続教育に関連したプログラム開発
③多言語によるスタッフおよび患者教育ツールの確立
④移植看護ならびにコーディネーターの教育ラダーの提供
⑤移植看護書籍発行
⑥独自のSNSを介したライブ感覚での情報交換による質疑応答の推進
⑦移植看護研究関連ツールの紹介や研究支援
などがあげられる.これらの取り組みに対し,世界中の会員の意見がダイレクトに学会運営に反映されやすい開かれた体制をとっている.
移植看護のグローバル化とエビデンスに基づく質の向上を大きな目標に掲げるITNSの取り組みについて紹介する.