移植
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当科における非移植医・単一術者による腹腔鏡下ドナー腎採取術の成績
橋本 浩平田中 俊明前鼻 健志太刀川 公人小笠原 卓音栗栖 知世中山 奨小林 皇舛森 直哉
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s286_3

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抄録

【緒言】腹腔鏡下ドナー腎採取術の基本的手技は、悪性腫瘍に対する腹腔鏡下根治的腎摘除術と類似するがコンセプトは大きく異なる。【目的】当科で非移植医・単一術者により施行された、腹腔鏡下ドナー腎採取術の成績を検討した。【方法】2018年9月から2022年5月に当科で腹腔鏡下ドナー腎採取術を施行した23症例を対象とした。術者は日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器腹腔鏡技術認定医で、腹腔鏡下ドナー腎採取術前に腹腔鏡下根治的腎摘除術の指導的助手として100例以上の経験があった。左腎では経腹膜的操作で、傍腹直筋の5cmの創より腎摘出をおこない、右腎では後腹膜操作で、側腹部の5cmの創より腎摘出をおこなった。手術時間、温阻血時間、入院期間、合併症、レシピエントの移植腎機能につき検討した。【結果】ドナー年齢中央値は58歳(43-73)、男性7例(30%)、女性16例(70%)、摘出腎は左16例(70%)、右7例(30%)であり、腎動脈は8例(35%)で2本、1例(4%)で3本であった。温阻血時間は中央値4分(2-7)、手術時間が中央値231分(169-277)であった。合併症は腎動脈損傷1例、リンパ嚢腫1例、左精巣痛1例であり、術後入院期間は中央値6日(5-8)であった。移植後は全例で直ちに利尿が得られ、レシピエントの移植後1か月のeGFRは中央値42.1ml/min/1.73m2(26.6-68.1)であった。【結論】手術のコンセプトを十分に理解することで、非移植医による腹腔鏡下ドナー腎採取術は、安全に施行可能であった。

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