移植
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当科における膵移植成績とグラフト十二指腸関連合併症に対する治療
今村 一歩足立 智彦松島 肇黒滝 航希福本 将之吉野 恭平円城寺 貴浩松本 亮原 貴信曽山 明彦日高 匡章江口 晋
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s294_1

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抄録

【背景・目的】

当院は2016年10月に膵臓移植実施施設に認定され、これまで7例の膵腎同時移植を実施。当科での膵移植成績およびグラフト十二指腸関連合併症に対する治療について症例を提示。

【膵移植成績】

レシピエント背景は、男性5名、平均年齢: 48±7歳/ HbA1c: 7.6±1.0%/ 糖尿病罹患歴: 24±7年/ 透析期間: 20±9.6ヶ月/ 脳死待機期間: 198±184日であった。移植後膵グラフト生着率85.7%、腎グラフト生着率100%、1例で血栓症からの膵グラフトロスを呈したが、他6例は全例インスリン注射/透析からの離脱を得ている。

【合併症詳細】

いずれの症例も術式は膵腎同時移植であり、膵液は回腸にRoux-en Y吻合を用いた腸管ドレナージとした。グラフト十二指腸排出不全を認めた2例では腹部CTでグラフト十二指腸~輸入脚の拡張を認めた。排出不全の診断で経肛門的ダブルバルーン内視鏡を用いた減圧チューブを挿入にて、グラフト十二指腸の拡張改善を認めた。他1例では排出不全に加え、血液検査でサイトメガロウィルス抗原血症を認めたため、経肛門的ダブルバルーン内視鏡による減圧及びグラフト十二指腸粘膜の生検を施行。免疫染色でサイトメガロウィルス陽性細胞認め、ガンシクロビルによる点滴治療を施行。十二指腸グラフト穿孔と診断された1例では最終的にグラフト十二指腸切除術・膵回腸再建を施行した。現在、いずれの症例においてもグラフト膵機能は保たれている。 

【結論】

グラフト十二指腸関連合併症に対して内視鏡治療あるいは手術にて対応を行い、全例において膵グラフト温存が可能であった。

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