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秋田県内における手術室がある施設での心停止後臓器提供の体制整備に関する調査
佐々木 聡
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s301_2

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抄録

【目的・対象・方法】手術室があれば心停止後臓器提供は可能とされているが実態は定かではない。そこで県内の手術室がある施設に心停止後臓器提供の体制整備について紙面による調査を実施し,その後電話等で状況を確認した。【結果】県内手術室がある施設は39施設(回答率100%)。体制整備されているのは10施設(25.6%)、されていないのが29施設(74.4%)であった。その内,5類型施設で整備されていないのが3/11施設,5類型外施設では26/28施設であった。また,手術室が稼働していない施設は11/29施設であった。【考察】体制整備されていない理由の88.2%がマンパワーの問題であり,単に人手不足のことであればこの問題に介入することは困難である。手術室が稼働していない病院も同様である。筆者は以前心停止後臓器提供を含めた臓器提供は5類型施設からが9割を超えていることを報告しているが,手術室がある施設であれば心停止後臓器提供が可能という認識で幅広く体制整備を検討するのではなく,本邦における臓器提供が5類型施設を中心に行われてきたことを鑑みれば,心停止後臓器提供であっても5類型施設で体制整備されている施設に普及啓発することが肝要である。また,現在議論されている臓器提供を行うための転院搬送が進展することを期待したい。

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