移植
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心臓移植後における周術期一酸化窒素吸入療法の現状
國部 祐吾安藤 政彦井上 龍石井 大介金子 寛行尭天 孝之小前 兵衛木村 光利嶋田 正吾山内 治雄小野 稔
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s333_3

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抄録

背景)2015年に心臓外科周術期の肺高血圧症への一酸化窒素吸入療法(iNO)が保険償還されたが、本邦の心臓移植後におけるその有用性のデータは限られている。

方法)当院で施行した178例の心臓移植のうち、当院でiNOが使用可能となった2016年以降の成人心臓移植95例が対象、術後のiNO使用の有無で比較した。

結果)iNO vs 非iNO群で16 vs 79例。投与時間の中央値は20.4時間、年齢/性別/原疾患/移植前心機能/虚血時間に有意差なし。iNO群で移植前PDE-V阻害薬の内服が多く(44 vs 14%, p=0.015)、移植後1週の肺血管抵抗が高かった(1.6 vs 1.3単位, p=0.045)。iNO群で移植3日後のSOFAスコアが高い傾向あり(7 vs 6点, p=0.052)、挿管時間も長いが(20 vs 14時間, p=0.002)、ICU滞在日数や(7 vs 7日, p=0.311)、生存率に有意差なし。

結語)移植後iNO使用率は約17%であり、肺血管抵抗の高い症例で使用される傾向あり。iNO使用の有無による生存率の差はない。

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