2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s334_1
背景:血流感染を発症したVAD患者は血流感染のない患者と比較し脳血管障害を発症しやすいと報告されている。しかし血流感染から脳血管障害に至るまでの過程については解明されていない。目的:VAD治療における血流感染と脳血管障害の関係性を明らかにする。対象と方法:当施設においてVAD植込みを行った20症例を対象とし血流感染陽性群(BSI+群11例)、血流感染陰性群(BSI-群9例)に分けた。BSI+群の中で脳血管障害を発症しなかった群(CVA-群)と発症した群(CVA+群)の2群に分け比較した。またBSI+群かつCVA+群においてNIH Stroke Scale(NIHSS)19以下を発症した群(non-critical群)と20以上を発症した群(critical群)に分けて脳血管障害を発症するまでの日数、血液培養陽性の回数を比較した。また同様に脳血管障害を発症する直前CRP、WBC、発症する1週間前のCRP、WBCの平均値について比較した。結果: BSI-群、BSI+群とCVA-群、CVA+群の間のFisher検定はp= 0.01252であった。また直前のCRPはnon-critical群(3.3±3.3)、critical群(6.5±1.8)、p=0.044であった。直前のWBCはnon-critical群(7.5±2.4)、critical群(11.8±2.5)、p=0.016であった。考察・結論:血流感染を発症した群ほど、脳血管障害を引き起こす傾向にあり血流感染と脳血管障害が関連している可能性が示唆される。また血液培養陽性かつNIHSS20以上の脳血管障害を発症している症例では、直前のCRP、WBCは有意に高くなっており、予後に関わる脳血管障害を引き起こす指標となる可能性が示唆された。