移植
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中学生の親は,臓器移植に関する道徳の授業について子と対話をしているのか
瓜生原 葉子
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s353_2

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抄録

【背景・目的】臓器提供における家族の意思決定において,日頃から家族で対話をすることが重要であるが,その機会は決して多くない。家族との対話が生まれる最も有用なきっかけとして,学校の授業で取り上げられることが考えられる。本研究の目的は,中学3年生の子をもつ親が,臓器移植に関する道徳の授業について対話を行っているかどうかについて実態を把握し,対話の有無が与える影響について検討することである。【方法】中学3年生の子をもつ親1,340名(男性670名,女性670名,年齢30歳~60歳)を対象としたwebによるアンケート調査を実施した。調査項目は,臓器提供のイメージ,こどもとの対話の頻度,こどもの臓器提供や話し合いの意図などであった。分析はSPSSを用いた。【結果と考察】道徳の授業で移植医療について学んだことについて対話している割合は21.1%であった。しかし,同じ道徳でも思いやりについては約半数が対話していたことから,授業後,家族と対話を促す授業構成などの工夫が必要と考えられた。道徳で臓器移植を学んだことについて,対話をしている親(283例)は,対話をしていない親(1,057例)より,統計学有意に子の臓器提供を承諾する傾向にあり,子の考えを知りたい・話し合いたい,自身の意思決定・表示もしたいと思っていた。以上から,いかに道徳の授業の後,家庭で移植について会話を促すかが鍵であると考えられた。

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