移植
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腎移植患者の移植後CVD管理 ~検査体制~
豊田 麻理子川端 知晶山永 成美
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s184_1

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抄録

腎移植レシピエントにとって心血管合併症は、感染症。悪性腫瘍と合わせて3大死因の一つであり、早期発見・早期介入は、長期予後の改善につながる。検査の目的には1,リスク因子の評価、2,心機能の現状評価、3,有症状時の精査がある。まず、重要なのは予防としてのリスク因子の管理であり、腎移植レシピエントにおいては、一般的なリスク因子(高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病、喫煙)のほか、移植特有のリスク因子(ステロイドやカルシニューリン阻害薬などの免疫抑制剤や拒絶反応)を考慮する必要がある。定期受診の際には、多職種での評価、介入が行えるようなシステムづくりが必要だ。移植後定期検査においては、移植後新規に発症する心血管合併症の至適な検査やモニタリング方法についてのエビデンスは不足している。患者の既往やリスクに応じて、施設毎で判断しているのが現状である。当院では年1回定期的に心臓超音波検査や心電図検査を実施し、必要に応じて個々の検査頻度を増やしている。

腎移植レシピエントの高齢化や長期のCKD状態により、今後心血管系合併症は増えてくると予想される。私たちはそのことを念頭に置いて予防及び治療介入のタイミングを逃さないよう注意深くフォローしていく必要がある。

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