2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s297_1
【背景】当院は国内11施設目の肺移植実施施設の認定を受け、肺移植適応評価患者の受け入れを開始し、初回実施に向けて準備を進めている。実施施設への留学や見学を積極的に行っているが、移植医療の未経験者も多いため、本番を想定した修練が求められている。日頃のトレーニングのひとつを紹介する。【献体を用いた手術手技トレーニング】献体の固定方法は進化し、固定された状態は生体と類似しているため、手術トレーニングに有用である。臓器摘出やインプラントについて、心臓外科医と本番を想定し計12回トレーニングを継続し内容を定型化してきた。【トレーニング概要】開胸後に臓器評価し、心灌流液注入用と肺灌流液ドレナージ用のカテーテルを留置、大血管を遮断し心臓摘出、続いて肺摘出を学会が推奨する手順で施行する。左房の処理については、心臓外科・呼吸器外科の双方の考えを伝え、解剖を確認しながら行う。肺灌流液ドレナージ経路の方法や肺灌流のタイミングなど細やかな部分までシミュレーションしている。その後、別の献体でインプラント手技を修練する。【結語】本トレーニングは手技と順序確認に有用で、プログラムを定型化することで実践に役立つレベルに質を高め、繰り返し行っている。新規肺移植実施施設として、現実施施設のレベルに少しでも追いつくため、利用できるリソースを活用し工夫して準備している。