熱帯農業
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クサネムにおける共生窒素固定
吉田 重方
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1982 年 26 巻 2 号 p. 74-79

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抄録

本研究は, クサネムの生育, 根粒着生および共生窒素固定におよぼす土壌水分環境の影響を調査するとともに, 湛水栽培したクサネムの窒素固定に必要な大気ガスの移行経路を明らかにすることを目的としたものである.
クサネム植物体の生長や根粒着生は, 畑条件に比べて湛水条件下で栽培した方が良好であったが, アセチレン還元法によって測定した着生根粒の共生窒素固定能は逆に畑条件で栽培したものの方が高かった.また, 湛水条件下にあるクサネムの共生窒素固定能は, 田面や植物体を通ずる地下部への大気ガスの移行制限処理によって低下するが, その低下度合は後者の処理で著しく高かった, したがって, 湛水栽培したクサネムによる共生窒素固定に必要な地下部へのガス供給は主として植物体の通気組織に依存しているとみなすことができ, そのことをモデル試験によって実証した.

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© 日本熱帯農業学会
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