熱帯農業
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果樹の栽培地の分布に関する研究
IVフィリピン国の果樹・樹木作物の分布
岸本 修石畑 清武
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1982 年 26 巻 2 号 p. 86-92

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抄録

フィリピン国における主要な果樹・樹木作物の栽培分布を, 1971年実施の農業センサス, 気象統計, 緯度との相互関係から検討した.ほぼ同緯度に位置するタイ国の果樹の分布との比較も試みた.
緯度と降雨量, 気温などとは, ほとんど相関はなく, 僅かに, 緯度と最低気温の間にのみ負の相関があった.栽培地の分布状態から, 果樹・樹木作物を3群に大別できる.1) バナナ群, フィリピン全域で栽培されているが, 輸出用はミンダナオ島に集中している.2) アボカド, パパイア群.この群も全域に分布しているが, 人口の集中する主都圏の周辺に多く栽培されている.この群にカラマンシー, ランサが属する.3) ドリアン群.南半分の地域にのみ分布している.この群にカカオ, マンゴスチンが属する.
フィリピン国の北半分は, タイ国と緯度, 気象, 地理的要因が類似していたが, レイシ, リュウガンの分布はなかった.

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