2019 年 14 巻 1 号 p. 12-20
【目 的】 ニコチン依存症教育講義が大学生・看護学生の社会的ニコチン依存度に与える効果を定量的に評価する。
【方 法】 早稲田大学「こころとからだの健康」選択学生と関東地方の看護学校学生に対して授業形式でのニコチン依存症教育講義を単回行い、ファーガストロームニコチン依存度テスト(FTND)および講義前後の加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)を自己記入式アンケートで集計した。
【結 果】 講義前と講義後のKTSNDは早稲田大学学生(212人、男性58.0%)の現喫煙者(14人)では17.1±4.2 (平均値±標準偏差)→ 11.4±5.1、同過去喫煙者(13人)では17.6±4.6 → 12.0±4.1、同非喫煙者(185人)では12.7±5.1 → 8.0±4.6、看護学生(33人。うち男性2人。現喫煙者1人、過去喫煙者1人)では11.1±4.9→6.6±4.0へ減少した(いずれもp<0.0001)。現喫煙者15人のFTNDの平均値は1.1であった。
【考 察】 講義により喫煙状況や集団の性質によらずKTSNDが約5点減少した。身体的ニコチン依存形成以前の防煙教育の必要性が示唆された。
【結 論】 身体的ニコチン依存形成以前の学生に対して依存症教育講義を行うことで、社会的ニコチン依存度が減少した。