2023 年 18 巻 2 号 p. 40-49
【目 的】 生活保護現業員を対象に、生活保護受給者への禁煙支援ツールの有効性について検討する。
【方 法】 生活保護現業員を対象に、禁煙支援マニュアルと生活保護受給者向けパンフレットから構成される禁煙支援ツールを配布し、半年間の使用を依頼した。ツール使用前後にアンケートを実施し、禁煙支援に関する認識や支援状況を前後比較した。
【結 果】 禁煙治療の医療扶助範囲の認知度がツール配布後に増加した。一方で、喫煙状況の把握割合と禁煙必要性の認識が低下し、禁煙支援に対する負担感が増加し、禁煙支援に関する自信が低下した。
【考 察】 ツールは現業員の禁煙に関する知識の増加に役立つ可能性がある一方で、ツールだけでは現業員の負担感や自信喪失につながり、受給者の禁煙に結び付けるのは難しいことが示唆された。
【結 論】 生活保護現業員と保健・医療従事者とが協働で生活保護受給者の禁煙を支援するためのシステムの検討が必要である。