日本禁煙学会雑誌
Online ISSN : 1882-6806
ISSN-L : 1882-6806
18 巻, 2 号
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巻頭言
原著
  • ~調査票による自由記載の分析~
    加藤 千洋, 久保田 聰美
    原稿種別: 原著
    2023 年 18 巻 2 号 p. 33-39
    発行日: 2023/05/31
    公開日: 2023/07/28
    ジャーナル フリー

    【目 的】 動機づけ面接(以下MI)研修会参加後に助産師が抱いた妊婦禁煙指導に対する認識を明らかにする。
    【方 法】 研修参加後の助産師に「妊婦禁煙指導に対する認識」調査票に返信のあった15名の記載内容を分析対象とし、内容分析法による質的記述的分析を行った。
    【結 果】 【妊婦の喫煙をやめさせたい】【喫煙は本人が解決する問題】【禁煙指導は難しい】【妊婦との良好な関係を保ちたい】【喫煙妊婦も困っている】【妊婦の自己決定を支援したい】【禁煙指導を実施したい】【正しい知識と情報提供が大切】の8つのカテゴリーが明らかになった。
    【考 察】 助産師自身の喫煙妊婦に対する否定的な捉えと共感的な捉えという両価性を持つ認識が、禁煙指導にも葛藤を生じさせ、その葛藤への気づきが禁煙指導への心理的障壁を取り除くきっかけになることが示唆された。
    【結 論】 MI研修会に参加した助産師の気づきは、喫煙妊婦への捉えと禁煙指導の認識に変化を起こしていた。

  • 松浪 容子, 古瀬 みどり
    原稿種別: 原著
    2023 年 18 巻 2 号 p. 40-49
    発行日: 2023/05/31
    公開日: 2023/07/28
    ジャーナル フリー

    【目 的】 生活保護現業員を対象に、生活保護受給者への禁煙支援ツールの有効性について検討する。
    【方 法】 生活保護現業員を対象に、禁煙支援マニュアルと生活保護受給者向けパンフレットから構成される禁煙支援ツールを配布し、半年間の使用を依頼した。ツール使用前後にアンケートを実施し、禁煙支援に関する認識や支援状況を前後比較した。
    【結 果】 禁煙治療の医療扶助範囲の認知度がツール配布後に増加した。一方で、喫煙状況の把握割合と禁煙必要性の認識が低下し、禁煙支援に対する負担感が増加し、禁煙支援に関する自信が低下した。
    【考 察】 ツールは現業員の禁煙に関する知識の増加に役立つ可能性がある一方で、ツールだけでは現業員の負担感や自信喪失につながり、受給者の禁煙に結び付けるのは難しいことが示唆された。
    【結 論】 生活保護現業員と保健・医療従事者とが協働で生活保護受給者の禁煙を支援するためのシステムの検討が必要である。

  • 藤原 直子, 大野 颯斗, 中角 祐治, 中嶋 貴子
    原稿種別: 原著
    2023 年 18 巻 2 号 p. 50-57
    発行日: 2023/05/31
    公開日: 2023/07/28
    ジャーナル フリー

    【目 的】 中学生に対してオンラインで心理教育授業を実施し、喫煙や依存に対する認識に及ぼす影響を検討する。
    【方 法】 中学1年生に対して、全2回のストレスおよびタバコを含む依存をテーマとした心理教育授業を実施した。評価基準にはタバコに関する認識、加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)、ストレス反応尺度、依存尺度を用い、生徒の授業に対する評価と感想も収集して授業の効果を検討した。
    【結 果】 授業前と授業後を比較した結果、実施群においてタバコに関する認識が向上し、KTSND、依存尺度の得点が有意に減少した。KTSNDの各項目では、喫煙の合理化、正当化を示す項目4、5、7の得点が有意に減少した。
    【結 語】 オンラインによる心理教育授業によってタバコや喫煙に対する認識、依存度が改善した。将来的な依存防止のために、喫煙防止教育を取り入れた心理教育が活用できることが示唆された。

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