2024 年 10 巻 1 号 p. A_139-A_147
無信号横断歩道で発生する事故発生要因の一つとして、付近に設置されている構造物等(視認阻害物)がドライバーと横断待機者間の視認を阻害していることが挙げられる。そこで、視認阻害物の設置位置と歩行者の横断待機位置の関係が視認に及ぼす影響をビデオ観測によって定量的に明らかにした。その結果、視認阻害物によってドライバーと横断待機者間の視認が阻まれていることが確認された。特に、ドライバーが横断待機者を視認できる距離が視認阻害物の設置位置や歩行者の横断待機位置によって大きく変化することが明らかとなった。ドライバーが横断待機者を適切な距離から視認できるようにするには、歩行者が縁石の端から1.8m以上離れた位置で横断待機するか、視認阻害物を横断歩道端から1.5m~2.3m以上離れた位置に設置する必要があることがわかった。