抄録
交通ネットワーク全体の交通状態を把握するために,プローブカーによって観測される交通状態の利用が検討されているが,プローブカーによる観測情報には時間的・空間的な未観測リンクが存在する.本研究では過去に蓄積された道路リンク速度データから多次元正規分布の平均・分散共分散行列を推定し,リアルタイムの観測リンクデータを用いて未観測リンクの補間を行う.本手法が用いるグラフィカルラッソという学習アルゴリズムとその EM アルゴリズムによる拡張によって,過去の蓄積データが未観測リンクを含む場合であっても,過去データに対して過学習しない分散共分散行列を推定することができる.バンコク中心部の 1 ヶ月間のプローブカーデータを用いて,本手法による未観測リンクの補間を行い,本手法の精度が既存手法よりも高いことを示す.