抄録
わが国の交通事故の発生件数・死傷者数は年々減少傾向にあるが、生活道路における事故の割合は減少していない。そのため、生活道路の交通安全対策をまちづくりと一体的に推進することが求められている。さらに、住環境で起こりうる交通事故と犯罪の対策に共通点が解説されているものの、これらの対策は個別に管理・運用され、交通事故と犯罪に共通している要因や関係性が明らかではない。そこで本研究では、交通事故と犯罪の過去の発生件数に影響している地域特性の抽出を行った。その結果、交通事故と犯罪の発生件数に共通して影響している要因として、公共施設数や住居系用途地域面積などの地域特性を抽出することができた。これらの成果は、安全・安心なまちづくりに向けて、効率的に対策を検討・推進できる基礎的な知見になると考えられる。