2017 年 3 巻 2 号 p. A_84-A_91
本研究では、一般に広く使われている対称照明と比較し、プロビーム照明下における歩行者視認性のメリットを明らかにすることを目的に、対称照明と簡易プロビーム照明をテスト走路に設置し、実験参加者 12 名による車内から歩行者を視認させる実験を実施した。街路での利用を踏まえたプロビーム照明専用の灯具は実在しないため、既存の灯具を工夫して理想配光に近い簡易プロビーム照明を製作し、実験に使用した。実験時は霧雨で路面が若干湿った状態であった。評価実験の結果、道路の横断方向と縦断方向を考慮すれば、プロビーム照明は対称照明に比べて歩行者を視認しやすく、また視認距離や車両と歩行者の位置関係による影響も小さいことが分かった。道路上の歩行者を視認する上で、プロビーム照明は潜在的に高い性能を有することが示唆された。