2019 年 5 巻 2 号 p. B_49-B_58
従来のパーソントリップ調査と四段階推定法を用いた交通施策の検討は,広域的かつ大量な交通需要を処理するための交通施設整備や交通サービスの提供が主眼であった.しかし,ライフタイルが多様化する中では,個人や世帯の詳細な情報を把握する調査と交通関連ビッグデータを併用し,都市圏の交通政策を効率的に検討する枠組みが必要と考えられる. 本研究では,そのような枠組みを前提とした知見を得るため,交通行動と関係のある多様な要因を明らかにする.具体的には,東京都市圏において WEB アンケート調査を実施し,集計分析および統計モデル分析により交通行動に影響を与える要因を把握する.分析結果より,外出有無やトリップ数は,性年齢だけでなく,交通サービス条件や世帯構成,就業形態,年収等の要因に大きな影響を受けていることが確認され,今後のアンケート調査の必要性とその調査項目が示された.