交通工学論文集
Online ISSN : 2187-2929
ISSN-L : 2187-2929
5 巻 , 2 号
特集号
選択された号の論文の49件中1~49を表示しています
特集号A(研究論文)
  • 瀬尾 亨, 日下部 貴彦
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_1-A_10
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー
    広範囲に渡る道路ネットワークの交通状態(高解像度での流率・密度・速度)の把握は道路交通管理上重要であるが,現在はその実現はデータの制約により難しい.本研究では,小型衛星による高頻度リモートセンシングにより道路全体の密度が数時間程度の間隔で測定され,プローブカーにより道路全体の速度が時間連続的に測定されている状況を考え,交通流モデルに基づくデータ同化により道路ネットワークの各区間の動的な密度,流率密度関係,プローブ混入率,ノードでの分岐率を推定する手法を定式化した.本手法は,感知器や事前に較正された流率密度関係を必要としないため,広範囲の道路ネットワークへ柔軟に適用できる可能性がある.また,数値シミュレーションにより提案手法の定量的性質を分析した.
  • 坂本 淳, 小笠原 誠, 石川 ひとみ
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_11-A_19
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    高知市は南海トラフ地震による市内中心部の長期浸水が懸念されている.多くの要医療支援者が浸水域内にとどまることが想定され,患者らを浸水域外へ搬送するための計画が検討されているが,現在は必要ボート数の算出にとどまっている. 本研究では,発災時に長期浸水域に残された要医療支援者をボートで搬送するための計画モデルを提案する.このモデルは,要医療支援者数とボート進出拠点までの距離という制約条件の下で,アクセシビリティが最大となる組み合わせを導くことで,最適なボート配置を提示するものである. 高知市にモデルを適用した結果,制約条件が弱い場面で,より多くの進出拠点にボートが配分されることがわかった.さらに,配置計画毎に救出シミュレーションを行うことで,救出に必要な時間やクリティカルな場所を特定することができた.

  • 香山 裕紀, 鈴木 弘司
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_20-A_26
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,愛知県により行われた 2 つ自動運転車の実証実験時に観測調査を実施し、自動運転車と一般車両の挙動の相違と交通流に与える影響を分析した。その結果、単路部での単独走行時に、自動運転車は一般車両と比べて高い速度維持性能を保有することが示され、追従挙動特性については、先行車が自動運転車と一般車両の場合では傾向が異なることがわかった。また、交差点部での発進反応時間については自動運転車の方が一般車両よりも時間がかかることが示された。また、交差点での直進挙動では、流出部で一般車両との速度差が殆どなくなっているのに対し、右左折の場合は逆の傾向がみられた。さらに、停止線通過時の車頭時間より飽和交通流率を求めたところ、自動運転車が混入する場合には若干の交通流率の低下が見られた。

  • 加藤 秀樹, 福本 雅之
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_27-A_32
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では、地域公共交通確保策の一つの方策として、利用の少ないコミュニティバスを乗合タクシーではなく、乗用タクシーによって代替し得るかどうかについて検討する。はじめに、乗用タクシーを活用した公共交通施策の意義を、市町村、タクシー事業者、タクシー運転手の側面から論じ、さらに、愛知県豊田市において運行経費に関する試算を行う。その結果、1) 移動の需要密度が低い状況では、乗用タクシーを地域公共交通として活用することが期待できること、2) 経費シミュレーションの結果、運行経費が 2~7 割削減できることが示唆されたこと、3) 距離制運賃で運行する乗用タクシーへの代替が適した地域特性として、迂回率の大きい非効率なバス路線となる地域が適していること、がそれぞれ示される。

  • 飯田 克弘, 井上 剛志, 森泉 慎吾
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_33-A_39
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,高速道路走行中に行き先間違いをした場合,流出した IC の料金所手前で不正転回に至るケースが多いことに着目した.この理由を把握するため, 行き先間違いした後の運転者の行動パターンを分類することを目的とした.まず,行き先間違いに伴う料金・時間の損失意識の評価値,および免許更新時に使用される安全運転自己診断の回答から推定される要素別運転態度(自己中心的,ながら,注意力不足,自信不足,慎重さ,強引)の評価値を変数としたクラスタ分析を行い,回答者を 4 つのグループに分類した.さらに,グループ毎に運転者が料金時手前で知覚したリスクについて考察した.その結果,運転態度の違いによって,運転者が料金所手前で知覚するリスクが異なることが明らかとなった.

  • 山本 航, 佐藤 久長, 折野 好倫, 糸島 史浩, 櫻井 光昭
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_40-A_47
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    近年、高速道路を走行する高齢運転者の増加に比例して、高齢者による逆走や事故が増加している。 こうした中、多田らによる高速道路における高齢者事故の特有パターンの抽出や、阪本らによる高速道路の本線料金所における高齢者の運転行動分析等、高齢者を対象とした高速道路の交通安全に関する研究が行われている。NEXCO 中日本では、学識経験者の協力のもと、高齢者に対して、高速道路側で支援すべき内容を検討している。その中で、高齢者と非高齢者の運転特性の違いや課題を抽出するため、先行研究を参考にして、IC 合流部、トンネル、本線料金所等の運転行動を対象として、被験者による実走行調査を実施した。その結果、高齢者には IC 合流が円滑ではない運転者が散見されることや、案内標識の目視が非高齢者に比べて不十分であること等が明らかになった。

  • 青山 恵里, 中林 悠, 下川 澄雄, 吉岡 慶祐, 森田 綽之
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_48-A_55
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    大型車の乗用車換算係数(PCE)は,大型車の車両性能の向上等に伴い見直しの必要性が指摘されて いる.さらにわが国の幹線道路ネットワークは概成しつつあり,今後は道路の交通機能が分化され大型車のトリップ特性も変化することが想定される.そこで本研究は,大型車が交通容量に与える影響と道路階層および交通特性との関係を実観測データにより明らかにするとともに PCE の特徴を分析した. その結果,道路階層によって異なる PCE が得られ,この違いはセミトレーラ連結車など車長の違いが大きく影響していることが明らかになった.また,PCE は規定値の 1.7 よりも小さい値となった.この理由として大型車の車両性能の向上だけでなく乗用車の車尾時間の増加が影響している可能性が示唆された.さらに道路階層と交通特性を踏まえた PCE の表現方法を考察した.

  • 竹居 広樹, 奥村 誠, 爪林 康太
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_56-A_63
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    津波などの自動車避難では、一方通行化により容量拡大を図るコントラフロー施策が有効であるという意見がある。しかし実際の避難時にも避難方向と逆方向の交通も観測されていることを考えると、コントラフローは、効果が確実に得られる最小限の区間に適用することが望ましい。筆者らは、自ら運転ができない避難者の途中乗車を考慮できる津波避難モデルを開発した。本研究ではこのモデルにコントラフロー区間の最適化を組み込み、市町村レベルの仮想ネットワークに適用した。分析の結果、自ら運転できる避難者の割合が小さい場合、途中乗車に先立つ逆向き交通を流す必要性があるため、コントラフローの適用区間は少なくなることがわかった。その一方で、パラメータの変動によらず常にコントラフロー化される区間が存在することが確認できた。

  • 水尻 翼, 辰巳 浩, 吉城 秀治, 堤 香代子, 向井 康裕
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_64-A_72
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が制定され、自転車走行環境は車道を基本として整備が行われている。中でも自転車専用通行帯が整備されることが多くなっているが、自転車専用通行帯は自転車道とは異なり工作物等による物理的な分離が自転車交通と自動車交通の間に存在しないこともあり、これまで以上に両交通はお互いに影響を及ぼし合いながら走行することになる。そこで本研究では、車道上を走行する自転車が自動車交通に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、実走行空間と仮想空間における走行実験を行った。自転車追い越し時の自動車速度と離隔距離への影響について分析を進め、追い越しに関わる挙動の特徴やその追い越し挙動に影響を及ぼす要因について明らかにした。

  • 大谷 眞弘, 多田 昌裕, 日置 幸希, 岡田 昌也
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_73-A_79
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    超高齢社会である日本では,高齢者の日常の外出手段となる公共交通を今後も維持することが重要な社会課題となっている.一方で,高齢化の進展に伴い,バス運転手の高齢化も進んでいる.一般の高齢運転者は,一度に確認すべき対象が多数存在する場面において安全確認回数が有意に少なくなる傾向にあることが先行研究で指摘されている.しかしながら高齢者がバス運転時にどのような運転行動を示すのか把握しようとした研究例は稀少である.本研究では,高齢バス運転手のバス運転時の視線を計測し,先行研究で計測した新人運転手,指導運転手の視線データとの比較を行った.その結果,同時に複数の注視対象物を確認すべき状況において,事故リスクを低減するために確認すべき対象物への注視回数が,高齢運転手は有意に少ないことが明らかとなった.

  • 飯田 克弘, 淺田 真敬, 多田 昌裕, 筑後 智弘, 西田 将之, 安 時亨, 澤田 英郎
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_80-A_89
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    道路交通の安全性・円滑性の観点から,自動運転技術の開発が急速に進められている.しかし,自動運転技術を搭載した車両が一般車両と混在した際,周辺の車両が受ける影響に関して運転者行動を含めて評価(社会受容性評価)した研究は希少である.先行研究では,ACC に着目し,臨界流に近い交通流を対象とし,ACC 車両が混在した交通流の特性や運転者行動を調査したが,本研究では,先行研究より高密度な交通流を対象とし,交通流の安全性・円滑性や運転者行動を明らかにした.その結果,高密度交通流においても,ACC 車両の混在比率が上昇することによって円滑性は向上したが,安全性に関しては潜在的な事故リスクが増えるケースが確認された.また,ACC 車両が混在することで,運転者には自身の運転および周囲に注意を向ける余裕が生じることが明らかとなった.

  • 後藤 誠, 石田 貴志, 野中 康弘
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_90-A_98
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー
    高速道路の交通性能は、道路条件や走行環境条件(気象条件)、交通条件によって変化することが知られており、そのうち交通条件はドライバーの属性や自動車の性能に依存し、経年的に変化している可能性があったことから、QV の経年変化を分析した。平成 15 年から平成 28 年を対象に 39 地点の QV 図を比較した結果、ほぼ全ての地点で自由流時速度や実現最大交通量、渋滞発生後捌け交通量が経年的に低下していることを確認した。また、実現最大交通量は平均で約 7%、平均速度は 7 ~ 9% 低下していることを明らかにした。これらより、交通性能の経年的な低下傾向は広いエリアで同様に発現していることから、局所的な地点の特性によるものではなく、社会全体の様々な制度変化やドライバー属性の変化等がこれに影響している可能性があることを示唆した。
  • 海野 遥香, 橋本 成仁
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_99-A_107
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    我が国において、生活道路での死傷事故はあとを絶たず、小学校低学年の児童の歩行中の交通事故での死傷者数が多いことから、生活道路内の子どもの歩行中の交通安全を確保することが重要だと読み取れる。しかし、子どもの歩行者を傷つける危険性のあるドライバーの意識に着目し、子どもの歩行者の交通安全を研究しているものは多く見受けられない。 本研究では、ドライバーの意識に着目し、生活道路内で子どもの歩行者に対するストレス意識を明らかにした。結果、子どもの歩行位置がストレス意識に影響していることが明らかになった。また、ストレス意識が高い層と低い層に分類し、2 項ロジスティック回帰分析を用いて要因分析を行ったところ、家族構成、生活道路に対する意識、自動車運転に関する意識等が影響を及ぼしていることが明らかとなった

  • ―群馬県パーソントリップ調査データを用いた分析―
    田村 祐貴, TRONCOSO PARADY Giancarlos, 髙見 淳史, 原田 昇
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_108-A_117
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    近年、モノの消費やサービスの利用を複数の人々が共同して行うシステムであるシェアリング・エコノミーが急速に普及している。交通分野においても複数の人で乗車と移動を共有するライドシェアが様々な形で広がっている。ライドシェアは資源の有効活用であり、個人の移動費用の削減だけでなく、交通量の削減、大気汚染の軽減、移動手段の提供など、社会全体への効果も期待されている。 本研究では、安定一対一マッチング手法を適用した地方都市におけるライドシェアの可能性と有効性を分析した。分析の結果、ライドシェアサービスへの参加人数を増やし、ドライバー数と同乗者数の適切な比率の調整を行うことで、マッチングの成立割合を維持しつつドライバーと同乗者にかかる負担を最小限に抑えながら走行距離の削減が可能であることを示した。

  • 池谷 風馬, 田中 伸治, 中村 文彦, 有吉 亮, 三浦 詩乃
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_118-A_124
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    2006 年度の道路交通法改正で取締りが強化されたものの、依然として違法路上駐車は多く発生している。これは違法駐車の取締りを徹底していないことが原因と考えられる。中心業務地区では荷捌き等の短時間駐車需要が多く、それに対応した路上駐車許容空間が必要であると考えられている。本研究では、現地調査の結果から交通流を考慮した幹線道路での路上駐車許容空間及び歩行者への影響を考慮した細街路での路上駐車許容空間を提案した。この提案から新たに取締り重点場所を示すことで、現状よりも総取締り距離がおよそ半減することを明らかにした。駐車コストの概念から1時間に1度巡回を行うことで違法駐車コストが合法的な路上駐車よりも高くなることを明らかにした。併せて提案した取締り頻度によって、違法駐車抑制に効果があることを示した。

  • -東京都台東区浅草地域のケーススタディ-
    吉田 樹
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_125-A_133
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    大都市観光地域では,観光バスの駐車や乗降可能なスペースが量的に不足し,円滑な道路交通を阻害する一因となっている。近年では,インバウンドによる観光バス需要の増加が見られるが,個人旅行への転換が進む傾向があり,短期的には,観光バスの路上駐車対策を運用面からアプローチすることが有効になると考えられる。そこで,本研究では,東京都台東区浅草地域で実施されている観光バス駐車対策をケーススタディとして,運用面からの対策がもたらした効果や課題をナンバープレート調査や交通量調査,ヒアリング調査などの結果から明らかにしたうえで,観光バス駐車場の効率的な運用を妨げる不確実性の実態を述べた。そのうえで,大都市観光地域において,運用面からアプローチした観光バスの駐車対策が成立する要件を示した

  • 萩原 亨, 浜岡 秀勝, 江湖 俊介, 岡嶋 克典, 小林 正自
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_134-A_141
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    プロビーム道路灯は、車両の進行方向を照射する照明器具である。この照明手法により、夜間の横断歩行者が道路の背景に対して明るくなり、その発見が夜間において容易となる。本研究では、著者らによる過去の研究をベースとし、実用化を想定したプロビーム道路灯を試作した。また、このプロビーム道路灯を用いて横断歩行者に関する静止状態の視認性評価と映像による横断歩行者の発見に関する評価を行った。その結果、試作したプロビーム道路灯により対向車線を含めた道路空間全体の視認性が十分に高く、右からのみでなく左からの横断歩行者の発見が容易となることを明らかにできた。また、プロビーム道路灯のデメリットであるまぶしさも試作灯具において許容範囲内となることがわかった

  • 上条 陽, 羅 力晨, トロンコソ パラディ ジアンカルロス, 髙見 淳史, 原田 昇
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_142-A_151
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究は、自家用自動運転車(AV)、カーシェア AV、ライドシェア AV の 3 種の交通手段に関する普及シナリオを設定し、それらが都市交通にもたらす影響を分析するものである。具体的には、群馬県北部の沼田市と利根郡周辺を対象地域とし、時空間詳細度の高い平成 2728 年度群馬県パーソントリップ調査のデータを用いて交通手段選択モデルを推定した。推定されたモデル、道路ネットワーク、パーソントリップ調査から作成した人々ののスケジュールを用いてエージェントベースシミュレーションにて分析した。その結果、車依存度の高い地方都市においても自動運転車のシェアリングによる総走行距離の増加、車両台数の削減、道路混雑の緩和が確認され、乗合は環境負荷低減に貢献するが過度な乗合は利用者の利便性を損なうことが明らかになった。

  • 長谷川 正憲, 宮川 愛由, 藤井 聡
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_152-A_160
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では、過度な自動車利用の抑制に向けた MM 施策の更なる拡大・発展に資するべく、交通行動や、居住する地域の交通環境が健康状態に及ぼす影響についての知見を充実させることを目的として、実データに基づき「交通行動」や公共交通へのアクセシビリティなどの「交通環境」と人々の「健康」との関係性を実証的に分析した。その結果、交通行動と健康の関係性については、既往研究の蓋然性を更に高める結果が得られたと同時に、既往研究では明らかにされていなかった「死亡リスク」との関連性が見いだせた。さらに、既往研究よりもより詳細な単位で区切った「交通環境」と各種疾患の受療率との関連性が示唆されたことから、詳細なエリアにおける交通環境の整備が、健康対策にも影響を及ぼし得る可能性が明らかとなった

  • 福山 大地, 田中 伸治, 中村 文彦, 有吉 亮, 三浦 詩乃
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_161-A_166
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    我が国では自転車の信号制御に関して議論が少ない。車道を走行する自転車は車両用信号に従うものとされているが、車両用信号のクリアランス時間は自動車の速度で決められているため、自動車よりも速度の遅い自転車には十分な時間が確保されておらず、信号切り替え時に交差点に残存するおそれがある。本研究では、信号交差点観測調査を実施し、信号切り替え時の自転車のクリアランスに関する問題の把握を行った。その結果、交差点の信号制御や幾何構造等様々な要因によって残存の起こる割合が異なることがわかった。また、交差点ごとに観測した自転車の速度で算出したクリアランス時間は現在設定されている車両用信号の値より長く必要であることが示された。以上の観測調査の結果を踏まえ、自転車を考慮した信号制御の指針作成のための知見を述べた。

  • 鰐部 万磨, 柿元 祐史, 中村 英樹, 井料 美帆
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_167-A175
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    近年、運転支援システムが実用化され始め、自動運転システムによる安全性や円滑性の向上に期待が高まってきている。しかしながら、自動運転車の普及段階においては、必ずしもこれらの期待が実現するとは限らない。特に、信号交差点においては、車両が複雑に干渉しあうため、自動運転車の挙動パラメータの設定次第で円滑性に影響が出ることが懸念される。そこで本論文では、自動運転車の挙動パラメータ設定が信号交差点の直進車線の交通容量に与える影響をシミュレーションとモデル式を用いて分析し、自動運転車のパラメータと混入率を考慮した交通容量を算定した。その結果、自動運転車が普及することで信号のサイクル長を短くできることが明らかになった一方で、自動運転車のパラメータを慎重な設定にすることにより、円滑性が低下する可能性が示唆された。

  • 塩田 朋史, 佐野 可寸志, 鳩山 紀一郎, 高橋 貴生
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_176-A_183
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    高速道路と一般道路の経路選択行動はトラック事業者が最終的に意志決定をしているが、荷主との契約も大きく影響を与えていると想定される。本研究ではまず、トラック事業者にヒアリングを行い、荷主と交わす契約が経路選択に影響を与えていることを確認した。同時に、経営的に厳しく、高速道路料金や所要時間によらず、固定的に一般道路を利用する事業者の存在も明らかになった。次に調査結果を踏まえ、新潟県トラック協会に加盟している佐渡地域と霊柩を除く全事業者を対象に、経路選択に関する SP 調査を実施した。さらに、選択行動のみを仮定する2 項ロジットモデルと、一般道路固定層を考慮した経路選択モデルを構築し、尤度比の観点から後者の説明力が高いことや、事業所属性によって選択層と一般道路固定層の帰属確率が表現できることを確認した。

  • 古川 ゆり, 桑野 将司, 秋元 美穂奈, 菅原 一孔
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_184-A_192
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    鳥取県では,公共交通の経路検索システム「バスネット」が導入されている.本システムには,検索者が検索時に指定した出発地や目的地,指定時刻,検索実行時刻などがログデータとして蓄積されている.本研究では,検索者が公共交通を利用する何分前に検索を行ったかを表す指定時刻と検索実行時刻の差を「事前検索時間」と定義し,事前検索時間の長短に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とする.生存時間分析を用いた分析の結果,事前検索時間には,指定した起終点,検索に使用した端末の種類,検索日の天候などが有意に影響を及ぼすことが明らかとなった.また,モデルの推定結果から検索状況に応じた事前検索時間の予測が可能となった.

  • 関 陽一, 小早川 悟
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_193-A_198
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー
    わが国では,路外駐車施設の整備が不足している場合における道路空間の暫定利用として時間制限駐車区間が存在する.この時間制限駐車区間では,路上に敷かれた駐車枠内に駐車し,パーキング・メーターやパーキング・チケットにより駐車手数料を支払うことで,合法的に路上駐車を認めている.これまでの駐車手数料は上限時間が 60 分で 300 円が主流であったが,近年の路上における短時間の駐車需要に合わせて 20 分 100 円の新たな運用も東京都を中心とした一部地域で始まっている.
    本研究では,駐車上限時間や手数料が異なる運用のパーキング・メーターが混在する時間制限駐車区間における路上駐車実態を分析することで,運用方法の違いが路上駐車行動に与える影響を分析した.
  • 坪田 隆宏, 吉井 稔雄, XING Jian
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_199-A_207
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    高速道路の交通事故要因分析は,都市内高速道路を対象とした報告が多く,都市間高速道路における分析は限られる.そこで,本研究は全国の都市間高速道路を対象に,交通流状態と各種幾何構造要因,および天候要因を考慮した事故発生リスク分析を実施する.交通流状態の分類には混合流状態の判定方法を提案した.また,幾何構造には平面線形や縦断線形に加え,トンネル区間を考慮した.これらの各種要因によって走行環境カテゴリーを定義した上で,各カテゴリーに対して事故発生リスクを算出した.分析の結果,混合流状態では車線数が増加するに従い車両接触事故のリスクが高まること,トンネル入口部においては追突事故リスクが高い傾向にあることが明らかとなった.今後はモデル分析を通じて本知見の統計的な有意性を確認する予定である.

  • 稲垣 具志, 原田 憲武, 柏 祐樹, 竹平 誠治, 小早川 悟
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_208-A_216
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    我が国における高齢ドライバー事故は,全事故に占める割合の増加が続いており効果的対策が急務で ある.加齢による身体・認知・心理能力への影響は多岐にわたり,高齢者の運転特性は多様性に富んでいる.そのため,高齢ドライバーの問題を事故統計分析のようにマクロで捉えると同時に,個人の運転行動から類型化することで新たな安全施策の立案に資する知見を得ることは重要である.
    本稿では,高齢者の日常生活における運転行動データをドライブレコーダの常時記録により収集することで,急減速の発生形態の多様性を考察するとともに,安全確認行動と個人特性の関連を分析した.その結果,個人により急減速が発生しやすい道路交通条件が異なることや,個人特性指標による安全確認回数との関連性の相違が示された

  • 長尾 朋紀, 二瓶 美里, 鎌田 実, 玉井 顯, 永見 豊, 中川 浩, 塩田 祐也, 松下 健介
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_217-A_222
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    日本の高速道路において逆走は年約 200 件程度発生しており、これらを防止するために逆走対策が実施されている。しかし対策導入後も逆走は依然発生しており、逆走対策の効果を検証する必要がある。 逆走発生者の 7 割以上が高齢者であり、その中には認知機能の低下の疑いがある者も含まれている。本論文では、逆走 CG 動画を用いて逆走に気づくか否かを測定することで、MCI 有病者への視覚的逆走対策の効果を検証した。その結果 MCI 有病者に対し、PA 入路部における矢印標示は健常高齢者へと同等の効果があること、IC 出路部における進入禁止標識・矢印標示は健常高齢者より効果が小さいが、進入禁止文字看板を加えることで効果が大きくなることが分かった。しかし、いずれも逆走対策の判断のしやすさには課題が残ることが分かった。

  • 関野 景介, 高山 雄貴, 山口 裕通
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_223-A_232
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,交通基盤の整備時期が経済活動・人口の空間的集積現象に与える影響を評価できる空間応用一般均衡(SCGE) 分析枠組みを構築することである.そのために,高山ら1) が開発した集積の経済と人口移動を考慮した SCGE モデルを,道路整備の時期が人口分布に与える影響を分析できる枠組みに改良した.そして,1986 年から 2005 年の道路整備を対象に,道路整備のタイミングが大幅に異なる,以下の 2 種類の反実仮想実験を実施した: 1) 道路整備水準(i.e., 地域間の所要時間) を 5 年間隔で変化させる場合,2) 道路整備水準を一度に変化させる場合.そして,それらの結果が大幅に異なり,開発した分析枠組が道路整備時期の影響を表現できることを明らかにした.

  • 村松 尚人, 杉木 直, 松尾 幸二郎, 水谷 晃啓
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_233-A_241
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    通学時,児童は道草遊びを伴いながら歩行するため,通学路における児童の歩行特性は特殊なものとなっていることが予測される.通学路における児童の歩行特性は,通学路を児童のあそび空間と捉えて議論するうえで非常に重要な事項となる.そこで本研究では,下校時の通学路を対象とした定点ビデオ観測調査結果をもとに,各対象区間の幅員を -11(中心 0)で標準化したうえで,通過位置分布,横断方向移動量分布から児童の歩行位置と活動量に関する分析を行い,児童の歩行特性と通学路環境との関係についての考察を行った.その結果として,児童の通過位置や横断方向移動量は,幅員が大きいグループでは幅員,交通量による影響を受けやすく,幅員が小さいグループでは道路境界条件の影響を受けやすいことが明らかとなった.

  • 堂柿 栄輔, 梶田 佳孝, 簗瀬 範彦
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_242-A249
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では時間制限駐車区間での路上駐停車行動について、東京(新橋)と札幌市での実態調査の比較からその違いを示した。その結果、手数料の支払いや標示線(枠)の利用の有無等について駐車行動の違いが認められ、地域性を考慮した当制度の運用に関しいくつかの課題を示すことができた。また待ち行列モデルを用い、規制を遵守したときの効果をうろつき交通1) 削減効果から示した。道路交通法第 49 条では道路上での短時間の駐車需要に応じる施策として、時間制限駐車区間の設置が示されている。この規制を効果的に実施するため、通常は当該区間にパーキング・メーターまたはパーキング・チケットを設置・管理する。我が国でのこれらの設置数(平成 24 年現在)は約 30 千台であり、届出駐車場の 2,200 千台に比べ小さな値ではあるが、街路のアクセス機能を効果的に実現する施策として重要である。

  • 大橋 幸子, 小林 寛
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_250-A_256
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    歩行者の安全確保に向け、歩行者と車両が同じ空間で安全に共存する環境づくりが必要とされている。 本研究は、この環境づくりに寄与する道路構造を明らかにすることを目的に、歩道の無い道路を対象に道路の路面構成の異なる実際の歩車共存道路で通行特性の違いを把握する。研究では、概ね等しい道路幅員で道路路面の構成が異なる区間を選定し、自動車の走行速度、自動車と歩行者の通行位置、その他の挙動等の通行特性をビデオ調査と ETC2.0 プローブ情報調査により分析した。その結果、路面構成の工夫を行うことで、個々の車両速度を概ね 40km/h 程度まで、全体の平均速度を 30km/h 程度までに抑えられる可能性があり、道路の路面構成の工夫が安全な歩車共存空間の構築に有用であると考えられた。

  • 飯田 克弘, 遠藤 貴樹, 多田 昌裕, 蓮花 一己, 山本 隆, 中村 丈彦, 糸島 史浩
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_257-A_266
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    地上や浅い地下の利用が高度化・複雑化した大都市圏では,交通ネットワークの整備のため,大深度地下を使用した高速道路の整備が進展している.大深度地下高速道路の JCT では,空間的制約,整備目的から派生して,地上-地下間の急勾配,ランプトンネル内の分合流部およびランプの急カーブなど,道路形状の急激な変化が短い区間に集中する場合があるが,このような道路構造が車両や運転者に与える影響は把握されていない.本研究では,ドライビング・シミュレータによる室内走行実験により,大深度地下高速道路の JCT における車両および運転者の挙動を調査した.その結果,標準的な安全対策である表示板の効果とデザイン改善の必要性が伺えた.さらに,速度が急低下する箇所や追突事故リスクが高い箇所を確認でき,その要因の把握を試みた.

  • 兵頭 知, 安井 一彦, 小野 拓海, 池田 隆博
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_267-A_274
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究は、道路附属物である区画線舗装の剥離劣化を対象として、千葉県内の一般幹線道路をケーススタディとして統計モデルを用いて経年的な剥離率を推計する方法により、区画線舗装の劣化進展を統計的に評価する方法を検討したものである。具体的には、千葉県内の一般幹線道路における一定期間内の経年変化に関する情報に基づいて、区画線について施工後の年数別に現場での撮影画像を収集することで、その劣化状態を画像解析による指標にて表現された剥離率を対象として折れ線回帰モデルを用いて推計した。その結果、施工経過年数ごとに各 200 サンプルの解析を行うことで、少なくとも区画線の剥離率が急激に上昇する直前の経過 7 年程度において、区画線の更新時期を設定することが望ましいとの結果を示した。

  • 片岡 将, 柳川 篤志, 樋野 誠一, 毛利 雄一, 田中 皓介, 川端 祐一郎, 藤井 聡
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_275-A_284
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では、高速道路整備がもたらすマクロ経済上の効果並びに各地域の人口や経済力の分布の変動をシミュレーションするため既往研究において提案されているモデルに改善を加えた上で、3通りのシナリオで高速道路の新規整備がもたらす効果を推計した。その結果、高速道路の新規整備が実質 GDP の向上に寄与し、一定のマクロ経済改善効果があることが確認された。一方で、全国的な整備を行うシナリオと関東地方のみの整備を行うシナリオでは、関東圏へ人口や経済力がさらに集中し、地方の衰退を促す危険性を有するという結果が得られた。一方、関東地方以外のみを整備するというシナリオにおいては、関東地方からの人口並びに経済力の分散化効果が確認された。しかしその効果は大きいものであるとは言い難く、さらなる整備シナリオの模索の必要性が示唆された。

  • 作田 莉子, 有吉 亮, 中村 文彦, 田中 伸治, 三浦 詩乃
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_285-A_292
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    バス利用意向低調の要因の一つに、バス停設備によってバス待ち抵抗が増加していることが挙げられるが、異なるバス停設備を有したバス停における利用者のバス待ち抵抗の要因は明らかになっていない。 そこで本研究では、異なるバス停設備を有したバス停における利用者のバス待ち行動を調査し、それに基づいてバス停設備がバス待ち行動に与える影響を運行サービスや利用者属性ごとに分析し、バス待ち抵抗増加の要因を明らかにすることを目的とする。利用者のバス待ち行動を集計分析した結果、バス停設備、運行サービス、利用者個人属性の組合せにより、バス待ち時間経過に伴うバス待ち行動の推移が異なることが明らかとなった。続いて分散分析を行った結果、バス停設備と運行頻度、バス情報の取得方法がバス待ち抵抗増加の要因であることが明らかになった。

  • 西 真宏, 倉内 慎也, 吉井 稔雄, 坪田 隆宏
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_293-A_302
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    四国の高速道路ネットワークは,ミッシングリンクや暫定二車線区間も多いため,早期の整備が望まれるが,現状の事業評価では十分な便益が計量されない状況にある.一方,現行の事業評価は自動車交通需要のみを扱った需要固定型の交通量配分に基づいているため,交通手段の転換や目的地の変化,新たな誘発需要などが評価できず,また,三便益(時間短縮,走行費用削減,事故減少)のみを対象としており,時間信頼性の向上等の効果が考慮されていない,等の問題がある.そこで本研究では,都市間での旅客流動がトリップベースで把握可能なデータを用いて,誘発・転移,転換交通を考慮した統合型需要モデルを構築すると共に,同モデルを用いて高速道路整備に伴う交通需要の変化の分析や利用者便益の計測を行い,現行の事業評価の問題を定量的に検討した.

  • 吉城 秀治, 辰巳 浩, 堤 香代子, 野中 淳平
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_303-A_310
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    狭幅員な道路が多い住区内の道路でも施工可能な交通安全対策として路側帯をカラー化する手法が広がりをみせている。このカラー舗装は低コストで早期に施工できることもあって全国においてその適用事例がみられる一方、施工後剥離等の劣化が発生し交通安全対策としての効果を維持するためには定期的な塗り直しが必要となってくる。しかし、カラー舗装の劣化に対して塗り直しを実施すべき明確な基準は存在しておらず、その判断は主観的なものになっているのが現状と考えられる。 そこで本研究では、カラー舗装を塗り直すべき基準をドライバー視点から検討した。ドライバーの視認特性や意識調査結果から検討したところ、「剥離率 40%」が塗り直しの一つの判断基準になり得ることを明らかにしている。

  • 谷田 英駿, 奥嶋 政嗣
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_311-A_318
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    道路橋梁の長期補修計画においては、補修費用だけでなく、補修工事によって生じる道路利用者負担についても考慮する必要がある。本研究では、道路利用者負担を考慮した複数橋梁における長期補修計画案の評価方法を提案する。具体的には、複数橋梁における補修シナリオを対象として、橋梁劣化モデルと交通量配分モデルを組み合わせ推計した LCC により比較評価した。この結果、道路利用者負担は補修費用の半数程度もあり、その重要性が明確となった。また、橋梁劣化の進行が遅い場合を除いては、予防保全型シナリオが優位であることを検証した。さらに、事後保全型シナリオと比較して、予防保全型シナリオは初期では費用負担が大きくなるが、長期補修計画としては適切であることを実証した。

  • 石丸 卓朗, 赤羽 弘和
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_319-A_328
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    東名高速道路下り線大和サグの追越車線を対象とし、11 台のカメラの同期撮影画像データから推定された 4 日分の走行軌跡データにより、交通渋滞発生前後の追従挙動を分析した。追従車両が車頭時間と相対速度の平面上で閉曲線状に挙動することから、車群先頭車の判定基準を定式化した。相対加速度を微分制御項とする追従モデルのパラメータを、位置の RMSE(Root Mean Square Error)に関して最適化し、先行非渋滞車群と渋滞車群とを対象に交通シミュレーションを実行し、既存モデルに対する再現精度の優位性を確認した。渋滞車群先頭車を先行車群先頭車で置換したシミュレーションにより、サグ部への進入速度とともに、車群先頭車の上り勾配部での速度低下が、渋滞の発生に影響している可能性が再確認された。

  • 嶋田 喜昭, 鈴木 一樹, 山田 真未
    2019 年 5 巻 2 号 p. A_329-A_334
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では、抜け道交通対策として愛知県稲沢市下津片町地区において連続的に狭さくが設置された対面通行生活道路を対象に、狭さく整備前と整備後 2 時点における交通流を調査・分析し、特に車両旅行速度の抑制効果ならびにその効果持続性について検討した。その結果、2 ヶ所の狭さくを含む道路区間において、整備前より整備後 2 時点とも旅行速度が低下しており、連続型狭さく設置の一定の効果とその持続が認められた。しかし、整備後の年月の経過により速度抑制効果がやや薄れる可能性があり、その一因として通行車両の狭さくすれ違い時における譲り合い行動の上達が影響していることが把握された。また、短い狭さく間隔を設けても速度抑制効果は局所的であり、各狭さく前後方向の道路条件を踏まえた総合的観点での対策が重要であることが示唆された。

特集号B(実務論文)
  • 萩田 賢司, 早川 敬一, 高嶺 一男
    2019 年 5 巻 2 号 p. B_1-B_10
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    熊本地震発生時に震度 6 以上の地域で自動車乗車中の乗員を対象としたインターネット調査を自動車安全運転センターが実施し,属性,直後の情報収.集活動とツールを質問した.232 人から有効な回答が得られ,大半の自動車乗員が地震発生後に情報収集活動をしていた.情報収集ツールは,インターネットが最も多く利用されており,テレビ,ラジオが順に続いている.ラジオは男性に多く利用されており,携帯電話は女性の利用率が高かった.収集した地震関連情報の不足状況については,津波被害情報以外は,不足と回答している割合が半数を超えていた.情報収集ツール別の不足状況については,インターネットが不足の割合が最も低くなっており,以下,携帯電話による家族・友人等からの収集が比較的高い評価であり,車の周辺における口コミ等は評価が低かった

  • 森 健二, 矢野 伸裕, 横関 俊也
    2019 年 5 巻 2 号 p. B_11-B_16
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    速度差が大きい車両同士による事故の内訳をみると追突事故が占める割合が高い。この理由には、単に追突の危険性が高いという解釈と、追突以外の危険性が低いため相対的に追突事故の割合が高くなるという二通りが考えられる。この点を明らかにするため、車両挙動という観点から速度差と追突事故の危険性の関係を評価した。そこで、高速道路において計測機器を搭載した実験車を走らせ、それを追い越していく一般車の様子を観測するというスタイルの実験を行った。追越車が実験車を追い越すために車線変更をするタイミングに着目し、双方の車両の速度及び車間距離から追突事故の危険性を評価した。 結果は、速度差が大きいと制動距離に対して余裕のある車間距離をとる一方、先行車の挙動を考慮したリスク指標でみると逆に危険性が高い傾向が確認された

  • 横関 俊也, 森 健二, 矢野 伸裕
    2019 年 5 巻 2 号 p. B_17-B_23
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では、歩行者用信号の青点滅の明滅周期を長くした場合に、歩行者の感じる必要以上の焦りを軽減できるかを検証するために、被験者に、明滅周期を調整した青点滅の模擬映像(現状の等倍(0.5 秒周期)、1.2 倍、1.5 倍、2.0 倍)を見せて、焦り度合等を評価させる実験を行った。一対比較法により、「焦り度合」、「急かされ度合」、「好ましさ」を解析した結果、明滅周期が長くなるほど焦り度合や急かされ度合が低くなる傾向が確認され、明滅周期の調整により歩行者の感じる焦りを軽減できることが示唆された。一方で、好ましい周期については、現状の 1.5 倍周期が最も高い評価となった。これにより、被験者がある程度の焦りを許容している姿勢もうかがえた。また、年齢層が高いほど長い明滅周期を好むことが明らかになった

  • 辰巳 浩, 堤 香代子, 吉城 秀治
    2019 年 5 巻 2 号 p. B_24-B_33
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究は、地方自治体によるコミュニティバスおよびデマンド交通の運営状況を明らかにすることで、地域公共交通を担当する自治体職員への情報提供を図ることを目的とする。そこで、全国の市町村に対するアンケート調査を実施し、全国の約半数の市町村から回答を得た。得られたアンケート調査データをもとに、まずコミュニティバスおよびデマンド交通の導入状況と適用法令(道路運送法)について整理した。次に運行状況として、運行日、運行便数、コース長、所要時間、運賃、デマンド交通の予約システムの導入状況について集計した。さらに、2015 年度における地域公共交通の利用実績(1 便当たりの平均乗車人数、住民1 人当たりの年間平均利用回数)や収支(運賃収入額、補助金受入額、総収入額、総支出額、赤字額)の状況について集計した。

  • 伊藤 潤, 大島 亮, 佐野 可寸志, 鳩山 紀一郎
    2019 年 5 巻 2 号 p. B_34-B_41
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    豪雪地帯,特別豪雪地帯のような降積雪が著しい地域をはじめとし,近年は降積雪による交通環境の悪化が大きな社会問題となるケースが頻発している.本研究は冬期交通確保の一助として,一般的に交通渋滞の主原因となる信号交差点の冬期交通処理能力に着目し,冬期路面状態や道路種別(除雪水準)ごとの信号交差点交通容量の変化について分析した結果を報告するものである.対象として特別豪雪地帯である新潟県長岡市を選定した. 冬期積雪時の信号交差点交通容量は,乾燥路面に対して概ね 2 割以上の低下が生じており,路面状態により大きく変動する事,消融雪施設設置区間においても容量低下が生じている事を確認した.また,交通容量の低下率は,同様の路面状態であれば道路種別(除雪水準)による差異は軽微であった.

  • 永廣 悠介, 西岡 悟史, 岡本 博
    2019 年 5 巻 2 号 p. B_42-B_48
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    阪神高速道路では、車両検知器を用いて走行速度を推定し、道路情報板によりお客さまに所要時間情報を提供している。所要時間情報の信頼性に対するお客さまからの期待は高く、提供情報の精度向上は重要な課題である。 一方で、ETC2.0 の普及により個別車両の実走行データが利用可能となっている。本稿では、ETC データを用いて、所要時間提供情報の誤差が実態的にどのようなものであるかを明らかにする。その上で、所要時間推定における誤差を少なくするために人工知能(AI)の一分野である機械学習の適用を試みる。 機械学習の手法として Neural Network(以下 NN と呼ぶ)を用いた所要時間推定の改善モデルを本稿では提案し、その効果の検証結果と、今後の実装に向けた課題と検討の方向性について報告する。

  • -東京都市圏におけるWEB アンケート調査より-
    石井 良治, 毛利 雄一, 青野 貞康
    2019 年 5 巻 2 号 p. B_49-B_58
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    従来のパーソントリップ調査と四段階推定法を用いた交通施策の検討は,広域的かつ大量な交通需要を処理するための交通施設整備や交通サービスの提供が主眼であった.しかし,ライフタイルが多様化する中では,個人や世帯の詳細な情報を把握する調査と交通関連ビッグデータを併用し,都市圏の交通政策を効率的に検討する枠組みが必要と考えられる. 本研究では,そのような枠組みを前提とした知見を得るため,交通行動と関係のある多様な要因を明らかにする.具体的には,東京都市圏において WEB アンケート調査を実施し,集計分析および統計モデル分析により交通行動に影響を与える要因を把握する.分析結果より,外出有無やトリップ数は,性年齢だけでなく,交通サービス条件や世帯構成,就業形態,年収等の要因に大きな影響を受けていることが確認され,今後のアンケート調査の必要性とその調査項目が示された.

  • 平澤 匡介, 佐藤 昌哉, 村松 忠久, 佐藤 義悟
    2019 年 5 巻 2 号 p. B_59-B_64
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    我が国の高規格幹線道路の暫定 2 車線区間は大半がラバーポールと縁石による簡易分離なので、正面衝突事故が起きた場合は重大事故に至りやすい。寒地土木研究所は、()高速道路総合技術研究所、鋼製防護柵協会と共同研究契約を締結し、暫定 2 車線区間のレーンディバイダーに適したワイヤロープ式防護柵の仕様を開発した。通常、ワイヤロープ式防護柵は、深さ 70cm のスリーブを打ち込み、143cm の支柱の内、40cm がスリーブに挿入されている構造なので、既設橋梁では設置できなかった。本稿は、ラバーポールの基礎として使われているアンカー金具による支柱固定方法と支柱基部の弱軸による衝撃吸収性能を高めた既設橋梁用ワイヤロープ式防護柵の開発について報告する

  • 立松 和憲, 米川 英雄
    2019 年 5 巻 2 号 p. B_65-B_74
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/02/06
    ジャーナル フリー

    都市間高速道路の交通集中渋滞において、渋滞先頭地点が移動することは、従前から指摘されている。 しかしながら、このような渋滞遷移現象についての研究事例は少ない。そこで、本論では、東名阪自動車道(上)鈴鹿 IC~四日市 IC の約 10km を対象に、渋滞先頭地点の遷移と交通容量の関係を、交通容量への影響要因を踏まえて分析した。ETC2.0 プローブ情報の走行履歴データにより、渋滞先頭地点の遷移現象の分析を行い 118 回の遷移を確認した。これらの遷移に対し、交通容量への影響要因のカテゴリー毎に渋滞先頭地点の遷移発生状況を整理し、交通容量との比較を行った。この結果、交通容量の大小関係のみでは説明のできない遷移を確認し、渋滞先頭地点の遷移は、交通容量とは異なるメカニズムで発生していると推察された。

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