2020 年 6 巻 4 号 p. A_71-A_78
今後発生が想定される首都直下型地震では,発災時の地震動によってドライバーがハンドルやブレーキ操作を誤ることにより,衝突事故ならびにそれにともなう道路閉塞の発生が懸念される.特に,震源付近を高速かつ高密度で走行している都市高速道路では,地震時のドライバーの運転行動を加味した事故被害の想定や対策案の検討が求められる.しかしながら,地震時における運転行動は観測の難しさから未だに十分な知見が得られていない状況にあり,より一層の解明が求められる.本研究では,DS を用いた室内走行実験により地震時を想定した運転行動データを取得した.その結果,緊急地震速報の情報提供のタイミングによって,減速行動が異なること,運転頻度の少ないドライバーほど地震時の特異な減速行動を取りやすいことが示唆された.