2021 年 7 巻 5 号 p. 10-19
2019 年 3 月より規制速度 120km を試行した東北自動車道(花巻南 IC~盛岡南 IC 間)における試行前後での走行実態の変化を、トラカンデータ、車両挙動データ、交通事故データ等を用いて分析した。試行前と、120km/h 試行後における平均速度と速度分布の比較からは、試行区間下り線では僅かな上昇傾向が、試行区間上り線と隣接区間においては有意な低下が確認された。試行区間上り線における上昇傾向は、20km/h の引き上げ幅に対して大きなものではなく、車両変更回数や交通事故発生件数にも著しい増加傾向は確認できなかった。一方で、規制速度の遵守率は改善していると考えられ,規制速度の適切な引き上げと各種対策等を同時に行うことで、より安全で円滑な高速道路の走行環境に近づけることも可能であると考えられた。