2022 年 8 巻 2 号 p. A_131-A_140
高速道路単路部の容量上のボトルネック現象のメカニズムを明らかにするためには、追従挙動の性質を的確にモデル化することが 1 つの接近法である。追従挙動に非線形性が見られることは良く知られているが、非線形性に起因する決定論的カオス性が見られるか否かがわかれば追従挙動モデルの構造の手掛かりとなる。本研究では、阪神高速 Zen Traffic Data(ZTD) から生成される追従挙動データにカオス時系列解析を適用することで、追従挙動に決定論的カオス性が見られるかを検証する。阪神高速 11 号池田線上り朝ピーク時間帯の追越車線の相対速度データへ同分析を適用すると、約 6 割の追従車のリアプノフ指数が正となり、これらの追従挙動にカオス性があることが疑われる。また、追従車平均速度によってリアプノフ指数の正負に相違がある可能性を指摘する。