2022 年 8 巻 2 号 p. A_141-A_148
危険予知訓練(KYT)は交通安全教育における有効な手段の一つである.近年のバーチャルリアリティ(VR)技術の発展により,一人称視点かつ 360 度全方位確認可能な実写 VR 教材を作成することが可能になりつつあるが,教育効果の持続性や行動変容への影響については明らかになっていない.そこで本研究は,筆者らが既報研究で作成した VR 教材と写真教材を使用した実験を行い,交通安全 KYT 前後の交通安全意識および教育から約 2 ヶ月後の交通安全意識および行動変容への影響をアンケートによって調査し,分析を行った.分析の結果,交通安全意識についての中期的な教育効果は対照群を含むどの教材群にも有意な違いはなく,また,すべての教材群で通学時の望ましい行動変容に効果があった.