2022 年 8 巻 2 号 p. A_273-A_280
自転車通行環境の安全性に関しては、自動車が車道外の自転車を認識しづらいことが事故の原因になると考えられることから、車道上を自動車と同一方向に走行することが望ましいとされ、車道上の通行を基本とした走行空間の整備が進められている。本研究では自転車・左折車の交差点流入条件の異なる複数の信号交差点でビデオ撮影を行い、直進自転車と左折車との錯綜現象を高速畳み込みニューラルネットワーク手法により得られた軌跡データを用いて分析した。錯綜時の速度変化に着目し、錯綜の危険度を交通コンフリクト指標である TTC の疑似手法と交錯点通過速度差により評価した。その結果、自転車は区間の違いによる速度変化が少ない一方、錯綜の有無と通行位置が速度決定の大きな要因となっており、特に錯綜時においては、自転車の錯綜パターンによって左折車との優先関係の傾向が異なることが明らかとなった。