本研究では,高速道路分岐部における案内標識と路面標示が交通流の安全性に与える影響について事故統計,映像および車両制御データを用いた分析を行った.まず,東名高速道路下り線の豊田ジャンクションを対象とした事故統計分析より,JCT1km 手前案内標識付近で 4 割程度の事故が集中していることを示した.次に,当該箇所における車両制御データを用いて,分岐方面車両の追越車線から第一通行帯への車線変更,本線走行車の第一通行帯から追越車線への車線変更が JCT1km 手前案内標識付近における多数発生していることを確認した.さらに,同箇所の映像データによる解析により,JCT1km 手前案内標識の前後区間での車線変更に伴う潜在的な交錯リスクが存在することを示した.これらの分析結果を踏まえ,当該区間の改善案を提案することができた.