青・白ナイル川が合流したナイル川下流域では、上流から流れてきた肥沃な土壌が豊かな実りをもたらし、エジプト文明を産み育ててきた。しかし、エチオピア高原に発する青ナイル川上流域は、その土壌侵食が世界で最も深刻な地域の1つとなっている。エチオピア連邦民主共和国主導で「砂漠化・土地劣化」防止を試みてきたが、その持続性の面で課題が指摘される。同国の人口は、50年前と比較すると約4倍に増えており、砂漠化・土地劣化の阻止は至上命題だ。鳥取大学乾燥地研究センターの恒川篤史教授は、住民参加による土壌侵食の削減のほか、土地生産力の向上や農家所得の増加も目的に研究活動を行っている。