脳卒中
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シンポジウムI
脳卒中病院前救護
岩下 具美岡元 和文本郷 一博北澤 和夫
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2007 年 29 巻 6 号 p. 688-693

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抄録

脳卒中は発症から治療開始までの時間が重要である. 2006年に松本広域圏で発症した脳梗塞救急搬送記録より発症様式や搬送時間を調査・検証した. 初発片麻痺患者は388例で全脳梗塞の46%であった. 年齢は平均75歳で, 75歳未満は40%を占めた. 発症時刻は, 確定例33%・推定例52%・推測不能例15%であった. 健常状態最終確認から発見まで60分, 片麻痺認知 (発見) から119番通報まで14分, 通報から病院到着まで31分であった (いずれも中央値). 55%が発症から3時間以内に病院到着した. JCS100以上は18%, 重度片麻痺は52%であった. rt-PAは, 慎重項目である年齢や意識・片麻痺の重症度から10%が対象となった. 病院前救護における時間短縮は, (1) 市民・救急隊へ脳卒中徴候と治療法の教育, (2) 救急搬送中の病歴聴取と家族同乗強化, (3) medical controlによる病院選定, が挙げられた.

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© 2007 日本脳卒中学会
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