脳卒中
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短報
延髄外側症候群に伴う急性期嚥下リハビリテーションにおける再発・進行と誤嚥性肺炎のリスク
西郊 靖子加藤 理恵小山 主夫出井 ふみ高橋 希和若林 秀隆佐鹿 博信
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2008 年 30 巻 4 号 p. 604-609

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抄録

【目的】延髄外側症候群患者における摂食・嚥下リハビリテーションが,脳卒中急性期のリスクとなる再発/進行や誤嚥性肺炎に対してどのような影響を及ぼすか検討した.【対象と方法】延髄外側症候群の連続症例を対象として,2004年9月の摂食・嚥下リハビリテーション立ち上げ以前の2年間の10例(未介入群)と立ち上げ後2年間の10例(介入群)をそれぞれの年齢,入院期間,絶食期間,リスク(再発/進行率・誤嚥性肺炎発生率)及び転帰を比較検討した.【結果】未介入群は平均年齢64歳(男9例,女1例;梗塞8例,出血2例)であった.介入群は平均年齢60歳(男8例,女2;梗塞10例)であった.発症から経口摂食(直接訓練)開始までの期間は,未介入群10.9日に対して介入群2.3日(p=0.005)であった.嚥下造影は介入群9例に施行した.転帰では自宅退院が未介入群4例,介入群6例で,機能ゴールでは,歩行自律が両群とも7例であり有意差を認めなかった.未介入は転院が多かった.退院時の食事形態(藤島の嚥下食1))は未介入群で嚥下III 3例・移行食5例・普通食2例で,介入群は移行食3例・刻み粥食2例,普通食4例と回復がやや早かった.退院時フォロー時の最終摂食能力は普通食が両群とも7例で有意差がなかった.誤嚥性肺炎は未介入群6例,介入群3例であり有意差(p=0.04)を認めた.脳卒中の再発/進行は,6例(両群ともに3例)で,発症3∼8日目に座位開始などの安静を変更した時に再発/進行していた(p>0.05).【考察】最終的摂食・嚥下機能には有意差がないが,発症2日目より摂食・嚥下リハビリテーションが関わることで,誤嚥性肺炎予防と早期機能回復を促していると考えられた.また摂食・嚥下リハビリテーションを早期に開始することは,脳卒中の再発/進行リスクにならないと考えられた.

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© 2008 日本脳卒中学会
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